[3] 教育システム

教務部長 森本 喜隆

 人間力豊かで、自ら考え行動する技術者を育成するために、課程、学部、学科には、それぞれの教育目標があり、科目群、一つ一つの科目にも学習?教育目標があります。(6.カリキュラムガイドを参照してください)
 本学は、ニューノーマルの時代を迎えても、基礎知識や専門知識を修得することにより身につく「学力」と、多様な分野や世代の異なる方々と協働することで身につく「人間力」の両方をバランス良く兼ね備えた能力を「総合力」と称して、学力×人間力=「総合力」の向上に資する教育を実践します。この総合力は、正課内、正課外のさまざまな活動を通して身につきます。本学の教育は、この能力を活かして、予測困難な社会の変化に柔軟に対応し、チームの中で率先して活躍できるバイタリティーに富んだ将来有為なグローバル人材の育成を目指しています。

探究的な学修(アクティブ?ラーニング)

 本学では、すべての科目で、問題発見?問題解決学習、双方向教育、予習?復習、課題?演習、討議?発表、グループワーク、反転授業(事前に予習をして授業に臨み、授業ではその内容について深く理解するための議論や教え合いを行う形式の授業)等を取り入れた探究的な学修(アクティブ?ラーニング、以下AL)を積極的に導入しています。
 本学のALの特徴は、教員による一方向の授業だけではなく、学生自身が能動的に学修することに主眼を置き、教員と学生がともに授業を構築し、学びを深めるための工夫が取り入れられていることにあります。このため、授業ごとに学生自身が自己点検を行い、気づきを通して自己成長に繋がるような学修が実践できます。
 アクティブな学習を実践するためには、学年を問わず学生同士が教えあうことや、企業の技術者、地域の方々と世代や分野を超えて関わりながら学ぶことが必要です。本学では、そのためのさまざまな場やプロジェクト活動を提供していますので積極的に参加してください。
 大学院では、研究室の運営や他研究室を始めとする学外の研究機関や企業との協働、研究成果の発表を通して、調整力や社会人としての基礎力を養います。また、後輩に対する指導力や研究グループのリーダーとしての能力をもつ高度専門技術者としての素養が身につきます。自らの学修、研究のみならず同輩との切磋琢磨に加えて、学部の後輩達に対する指導や助言等を通じて自らが成長する「場」としても充実した大学院生活になるよう努めてください。

学習支援計画書?eシラバス

 学習支援計画書(シラバス)は、学生と教員との授業に関する大事な情報源です。受講の際は、その授業科目を学習することによって何ができるようになるのか、成績評価の方法、各回の授業内容などを確認して受講してください。学部、大学院教育においては、学習支援計画書と連動する学習管理システム(eシラバス)上に詳細な授業内容や教材?課題などの情報を掲載する科目が多くあります。予習?復習、自己点検にこのeシラバスを活用し、学びの過程や自らの成長を振り返ることで、将来の進路を選択することに活用してください。
 さらに、教員は学生からの質問や相談を受けるためにオフィスアワー(様々な能力レベルの学生に応じて個人教授する制度)と呼ぶ時間を設けています。不明な点を解決し自分の能力を伸ばす絶好の機会ですので、積極的な活用を心がけてください。
 これらを活用することで、「自ら考え行動できる人材」としての素養が身につくように充実した学生生活を過ごしてください。

教育付加価値日本一を目指す取り組み

 本学が最も重視することは、入学した学生の「力」を引き出し、「学力(基礎力と専門力)」ならびに「人間力(社会で活躍することのできる力)」を高め、「学力×人間力=総合力」を最大限に成長させることです。この「総合力」を涵養するため、正課教育(授業)と正課外教育(課外活動)の相乗学修を実現する教育システムを展開します。これにより、学生は、正課教育ではチームで問題を発見?解決に取り組む教育を主としたカリキュラムのもとで学修し、正課外教育では正課教育で学修した知識?スキルを統合して実社会が抱える問題の解決に取り組むことで、学生が「自ら考え行動する技術者」としての素養を身につけることを目指しています。
 本学では、学びに対して真摯な学生の向学心を一層奮い立たせるような環境?支援体制の整備に積極的に取り組むことで、「教育付加価値日本一」を目指しています。

チームラーニングの推進

 探究的な学修(アクティブ?ラーニング)を前提としたチームラーニングでは、他者を尊重し協力し合うことが重要です。学びの過程では、知識の修得だけでなく他者との協働で人間力も養われます。
 本学では、正課外においても学生同士で教え合い?学び合い、議論し、ものをつくり、実験できる環境(ラーニング?コモンズ)で学生が主役となって教職員と共に学びを深めることができます。
 学生の皆さんには、こうした環境で学力と人間力を互いに高め合える学びの輪を主体的に創り出し、他の学生や教職員と協働しつつも、ときとしてリーダーシップを発揮しながらチームで活動してください。

TA?SAの活躍

 本学には、学生の学内勤務制度「教育補助員(大学院生:TA?学部生:SA)」を設定しています。TA?SA(Teaching Assistant ? Student Assistant)は、その名の通り、教員を補佐する役割を担います。正課において、教員側の立場で履修学生からの質問に答えるのみならず、ときには教員と共に授業の方針について話し合うこともあります。この制度の中でも、特にアクティブ?ラーニングの輪の中心で活躍を期待されているのが「シニア TA?SA」です。
 シニア TA?SA は正課の授業内容について、正課内?正課外で学生の質問に対して解説?指導を行うことで、学習のサポートを行います。内容を理解した学生が、十分な理解に達していない学生に教えることで、授業内容を理解した学生を増やし、さらに他の学生に繋ぐ「教え合いの連鎖」を創りだしています。
 また、シニア TA?SA が解説?指導した内容は、教員にもフィードバックされ、学生の視点、意見を取り入れることにより、授業の改善が図られています。