開講科目の詳細
グローバル特許実務特論
Global Patent
担当教員
受講対象者
?企業の知財担当者、弁護士、弁理士、特許?法律事務所スタッフ等、およびこれらを目指している方
授業の主題と概要
今日、企業の経済活動はグローバル化して、国境を越えて展開されている。しかし、特許権は各国毎に成立し、その国内においてのみ効力を有する。そのため、我が国の特許制度だけを理解しても、グローバルなビジネスには必ずしも対応することはできない。例えばアップル?サムスン訴訟など国際的な知財紛争では、日本のみならず、海外においても同時に特許訴訟が提起されることも多く、また、パテント?トロールなど海外の特許権行使への対応を日本企業が求められることも増えている。またグローバルなライセンス戦略やビジネス戦略も、諸外国の知財制度の大枠やその相違の理解を前提に進められる。
そこで、知的財産プロフェッショナルとして活躍するためには、日本の特許実務のみならず、海外の特許実務に関して精通することも求められる。特に、米国特許制度は、日本から米国への特許出願の件数の多さのみならず、多くの日本企業が米国特許訴訟に何らかの形で関与し、また米国内外の企業と米国特許ライセンス契約などの取引がなされていると共に、我が国の特許実務への影響力も大きく、実務上極めて重要であるが、他方、我が国と制度上異なる点も多く、留意する必要性が高い。
他の出願中心の講義とは異なり、本講では、主に特許権の(出願でなく)行使?活用の場面について、我が国の制度と対比しながら、グローバルな訴訟やライセンスなど国際的な特許実務について幅広く講義を行う。但し、時間的な制約もあるため、まず米国に焦点を当て、次いで欧州(ドイツ)、その後適宜アジアなど諸外国も可能な限度で言及する予定である。まずは、特許制度の概観からスタートし、グローバルな特許実務に不可欠な、米国その他主な諸外国の訴訟やライセンスや我が国の国際的な特許問題について、実際に関与した案件の話しや国際会議での議論なども適宜織り交ぜつつ、基礎から学ぶ。その中で、グローバルな特許戦略についても言及する予定である。なお、授業は日本語にて講義する。
到達(習得)目標
1)米国を中心とする、主な海外の特許制度の概要?特徴がわかるようになる
2)グローバルな特許実務及びその対応方法がわかるようになる
3)近時のグローバルな特許実務の動向がわかるようになる
4)諸外国と対比することで、我が国の特許制度の理解が深まる
講義スケジュール
講義 進行 |
講義テーマ |
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1 | Ⅰ.国際特許制度総論 ?属地主義 ?特許政策(プロパテント?南北問題など) ?各国特許制度概観 Ⅱ.特許権の効力 ?特許権の及ぶ範囲 |
2 | Ⅱ.特許権の効力(続き) ?救済方法 ?抗弁 |
3 | Ⅲ.特許訴訟 ?裁判制度 ?特許権侵害訴訟の流れ |
4 | Ⅲ.特許訴訟(続き) ?特許権侵害訴訟の流れ ?無効主張の在り方 ?水際措置 |
5 | Ⅲ.特許訴訟(続き) Ⅳ.特許ライセンス ?ライセンスの種類 ?ライセンスの基本的契約条項 |
6 | Ⅳ.特許ライセンス(続き) ?ライセンスに関する諸問題(権利行使、消尽、倒産 など) Ⅴ.我が国における国際特許問題 ?国際管轄、準拠法、国際消尽 など |
7 | Ⅵ.特許制度の近時の動向 ?米国におけるプロパテントとその後の変容(法改正?判例等) ?米国特許訴訟の傾向(パテント?ロールなど) ?欧州における統一特許裁判所へ向けた動き ?アジアにおける特許訴訟の傾向と特徴 |
8 | Ⅵ.特許制度の近時の動向(続き) ?標準化技術に係る特許権に基づく権利行使の在り方 ?特許法と独占禁止法の交錯領域の問題 など Ⅶ.国際特許実務への対応 ?国際特許紛争とその対応方法(アップル?サムスン訴訟など) ?国際特許ライセンスについての対応方法 |
開講について
開講時期: 4学期
開講形態: 1コマ(90分)毎週開講
講義回数: 全8回
テキスト/参考図書
【テキスト】
『知的財産権法概論』紋谷暢男/崇俊著(発明推進協会) 2017.4 を適宜参照
※ 追加する場合は改めて連絡します。
※ 日本?米国等の特許法について言及することもある為、六法や条文などの準備を推奨します。
【参考図書】
別途クラス内にて連絡予定
※上記は一部追加?変更となる場合もございます。また、指定テキスト及びケースなどは、別途ご購入頂くもので、授業料には含まれておりません。予めご了承ください。