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脳波を用いた視覚フィードバックで英語の訛りを効果的に学習できるシステムを提案。情報工学科4年 吾妻慶伍さん
英語のリスニング能力は英語で交流する際に非常に重要な要素ですが、英語にはそれぞれの国と地域によって様々な訛りがあり、聞き分けが難しい場合があります。
さらに、訛りの学習方法も反復が基本であり時間効率が非常に悪く、評価方法も明確性に欠けています。
脳波を活用した学習方法は様々なものがありますが、使用される脳波器は高価で取り扱いが難しいことが課題となっています。
そこで情報工学科4年 吾妻慶伍さん(中沢実研究室)は、ニューロフィードバックトレーニングと呼ばれる主に医療現場で用いられる技術を、比較的安価で簡易的な脳波器を用いて英語学習に応用することを目指しました。
ニューロフィードバックトレーニングは、同じ音(標準刺激)を繰り返し与える中で異なる音(逸脱刺激)を聴かせることで出現する「ミスマッチ陰性電位」(MMN)と呼ばれる脳波の強弱を視覚的に被験者にフィードバック。被験者は例えば「L」と「R」といった聴覚刺激に意識を向けなくても、無意識のうちに識別能力を向上させることができる外国語学習の新しい勉強方法としてその可能性が先行研究で検証されています。
吾妻さんは、同じ単語で発音が違う単語として「color」を用い、アメリカ英語とイギリス英語の発音を実験に用いました。アメリカ英語を標準刺激とイギリス英語を逸脱刺激として4対1の割合で繰り返し被験者に聴かせることで、測定された「ミスマッチ陰性電位」を視覚的にフィードバック。英語訛りの発音識別能力の向上を目指しました。
そしてEmotiv社の「EpocX」と呼ばれる簡易型脳波器を使用し、「EpocX」で「ミスマッチ陰性電位」が取得できるか、20代前半の第一言語が日本語の男性7名を被験者に実験を実施。簡易型脳波器でも複雑な脳波波形である「ミスマッチ陰性電位」が取得できることが判明しました。この実験を踏まえ、リアルタイムで脳波取得を行う学習システム構築の可能性が見えてきました。
(動画)
アメリカ英語を標準刺激とイギリス英語を逸脱刺激として4対1の割合で「colar」を繰り返し被験者に聴かせ、 簡易型脳波器で複雑な脳波波形である「ミスマッチ陰性電位」が取得できるか実験を行った
情報工学科では2025年2月13日(木)、14日(金)の2日間、金沢工業大学扇が丘キャンパス8号館で1年間の研究成果について公開発表を行う「プロジェクトデザインⅢ公開発表審査会」を開催します。
吾妻さんは当研究成果を、8号館8.506室で2月13日(木)13時30分から15時50分まで行われる中沢実研究室の発表時間帯において、発表します。
詳細は以下のサイトにてご確認ください。
学部4年生が1年間の研究成果について公開発表する「プロジェクトデザインⅢ公開発表審査会」開催。2025年2月13日(木)、14日(金)の2日間、金沢工業大学扇が丘キャンパスで
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