記事詳細
【データサイエンスとAIの魅力を高校生へ】
Data Dreamersと狩野研究室による実践的な特別講座を埼玉県で実施
金沢工業大学の学生によるデータサイエンスプロジェクト「Data Dreamers」と経営情報学科の狩野 剛研究室(専門分野:ICTと国際開発、ICT人材育成、自治体DX)は、2024年9月から11月まで埼玉県の昌平高等学校にてデータサイエンスに関する特別講座を実施しました。
この講座には狩野剛准教授と、Data Dreamersのプロジェクトメンバーで大学院情報工学専攻博士前期課程(修士課程)1年の大竹雅彦さん及び経営情報学科4年の沼田航季さん、さらに、狩野准教授と共同研究に取り組むタイガーモブ株式会社(東京都渋谷区)が参加。高校生に向けてデータサイエンスの魅力やワクワク感を伝えることを目指しました。
講座概要
2022年度から高校では「情報I」が必修化されています。しかし狩野研究室とData Dreamersでは「本当にこの科目を履修するだけで、データサイエンスの楽しさが伝わるのだろうか?」、「もっと伝えたいワクワクする要素があるのでは?」という問題意識を持っていました。
そこで講座のデザインにあたっては、Data Dreamersと狩野研究室で「情報I」科目の内容を分析した上で、「データサイエンスの魅力やワクワク感を伝える!」をスローガンにコンテンツ設計を行いました。
本講座では9月から11月まで、全6回、24名の高校生を対象に幅広いテーマを扱いました。
第1回「AIが抱えるジレンマ」
AIの発展に伴うジレンマや倫理的問題をテーマに、AIが社会で果たす役割とその責任を議論。AIの導入が人種差別に繋がってしまった事例や、自動運転の設計方針を題材に、参加者はAIの利便性と課題を理解し、AI技術がもたらす影響について考察を深めました。
第2回「データサイエンティスト体験」
データサイエンティストの役割を疑似体験。都道府県の教育データ分析を通じて課題解決に向けた意思決定を行うプロセスを実際に体験し、データ活用の可能性を理解しました。
第3回「データに騙されないために」
フェイクニュースや不正確なグラフの分析を通じて、情報の信頼性を見極めるためのデータリテラシーを養成。データがどのように誤用されうるかを、実際に誇張グラフを作成するワークを通して学びました。
第4回「生成AIを使ってみよう」
生成AIを活用し、プロンプトを使った画像作成や架空映画のあらすじ作成のチーム対抗戦を実施。生成AIがもたらす創造性の可能性を探りつつ、その活用法と限界についても考察しました。
第5回「プログラミング(Python体験)」
AIやデータサイエンスで使われるプログラミング言語であるPythonを用いたプログラミングを体験。データサイエンスの基礎的なプログラミングスキルを身につける機会として、ブラウザ上で電卓の機能を実装するという実習を行いました。
第6回「学びを振り返り、自分のものにしよう!」
これまでの講座を振り返り、学びを自分のものにするためのディスカッションを実施。AIの倫理やデータリテラシー、生成AIなどを再確認し、多角的にものを見ながら未来の自分を描くワークに挑戦しました。
講座の実施にあたっては、金沢工業大学に加え、国際キャリアやファシリテーションに強みを持つタイガーモブの力添えも得て、インタラクティブな講座の実施を心がけました。
講座の最終日には、それまで知り合いではなかった高校1年生と2年生の生徒同士で「今度一緒にゲームを作ってみないか?」と連絡先を交換する姿も見られ、関心が近い学生と交流を深める”化学反応”も生まれました。
受講した高校生の声
●『データに騙されないために』『データサイエンティスト体験』では情報における信頼度や考え方について学ぶことができ、特に印象に残りました。 『生成AIを使ってみよう』『プログラミング(Python体験)』では、主体的に学び、行動することがよくできたと手ごたえを感じ、わくわくしました。
●生成AI、プログラミングがとても印象的です。わくわく、というか、自分にもこんなことができるんだなぁ、っていう可能性を感じられた授業でした。素敵な授業でした!
●みんながAIに高い関心を持っているけれど、その感じ方は人によって異なっていて、これまで見てきたデータも違っていることがうかがえました。 今情報化の時代だけど、情報に流されるのではなく、情報を使いこなそうという意思が感じられて、みんなで情報と仲良くなれたらいいと思いました。
この講座を通して、高校生は実践的なデータサイエンスの知識とスキルを身につけ、将来のキャリア形成に向けて新たな視点を得ることができました。
Data Dreamersについて
2023年4月に発足した金沢工業大学初のデータサイエンスに関する課外プロジェクト。勉強会やハンズオンイベントを開催し、データ分析技術の向上をはかるとともに、実際のデータを用いたコンペティションにも積極的に参加。社会課題を解決できるデータサイエンティストの育成を目指しています。Data Dreamersでは今後もデータサイエンスの普及に力を注いでいく予定です。
(関連ページ)