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【高大連携レポート】
山形市立商業高校「情報教育講演会」
②情報科生徒向け「コンピュータグラフィックス入門とVR/AR技術の活用」

2025/12/23 NEW

2025年12月17日(水)午後、山形市立商業高校の情報科2年生41名を対象に、情報理三亚赌场,香港赌场 知能情報システム学科の山本知仁教授による特別講義「コンピュータグラフィックス入門とVR/AR技術の活用」が実施されました。本講義では、3DCGの基礎理論の学習と最新のVR/ARデバイス体験を通じ、生徒が情報技術の最先端を体感する機会となりました。


1.山本教授による3Dコンピュータグラフィックスの技術の解説

山本教授は、ゲームやVR/ARといった視覚技術の進歩が、3次元CG(コンピュータグラフィックス)の技術によって支えられていることを以下のように説明しました。

3次元CGは、仮想の3次元空間に物体、光源、視点などを定義?配置し、それを2次元スクリーンに描画する技術であり、奥行きの情報を持つため、一度モデルを作成すれば、視点変更による多様な画像を自動生成できるという点で2次元CGと区別されます。その応用範囲は広く、ゲーム分野のほか、手術シミュレーションやフライトシミュレータなど、失敗が許されない専門分野でも利用されています。

CG画像の制作は、「モデリング」「視点?光源設定」「レンダリング」などの主要な段階を経て行われます。形状を作成するモデリングにおいては、計算時間削減のため、中身のない表面のみのデータであるサーフェイスモデルが基本であり、複雑な形状は多数のポリゴン(多角形)を組み合わせることで表現されます。また、水や炎のような流動的な現象は、小さな粒子の動きをシミュレートするパーティクルシステムによって実現されています。

アニメーションは、物体の位置や大きさを制御する平行移動、回転、拡大縮小という基本的な座標変換の組み合わせによって成立しています。最終段階のレンダリングでは、光の反射(拡散反射や鏡面反射)を計算することで陰影をつけ、写真のようにリアルな表現(フォトリアリスティック)を実現する場合もあれば、アニメ映画のようにセル画調の表現(ノンフォトリアリスティック)を実現する場合もあります。

2.3年生によるVRを使った課題研究の事例紹介

山本教授の説明に続き、情報科3年生の課題研究チームが制作したVRコンテンツの紹介が行われました。山形市立商業高校は、DXハイスクール校の採択を受け、最先端の空間コンピューティングデバイス「Vision Pro」や360度撮影用カメラ等を購入し、課題研究の環境を整えています。

3年生はこれらのツールを活用し、山形県内の観光資源をテーマとし、山形県の中央部にそびえたつ月山の360度映像や、その他の観光名所、そして地元のカフェを題材にしたコンテンツを制作しました。映像は生徒達が自ら現地に赴き撮影し、月山に登山したり、地元のカフェなどを巡ったりしています。特にカフェのコンテンツでは、店内の雰囲気だけでなく、パフェやチーズケーキなどを様々な角度から撮影し、フォトグラメトリーの技術を使ってどのような角度からも鑑賞できるように工夫しました。これらの活動は、生徒らが主体的に地域の魅力を発信する実践的な取り組みの事例です。

3.6チームに分かれてVR(VisionPro)体験

その後、生徒たちは6チームに分かれ、「Vision Pro」を実際に装着し、3年生が制作したコンテンツを体験しました。生徒たちは、360度撮影された月山の風景映像をVRモードで体験し、頭の動きに合わせて画面の視点が連動するヘッドトラッキング機能を体感しました。また、指をつまむ動作(タップに相当)で操作する Vision Proの基本操作を確認しました。初めてVRを装着する生徒もいて、空間でタップする操作に戸惑っている姿も見られましたが、柔軟に対応をし、没入感のある映像体験に歓喜が湧き起こりました。この体験を通じて、生徒たちは、3次元CGの技術が最新デバイス上でどのようにリアルな没入感(VR)や拡張現実(AR)を実現しているかを具体的に理解し、情報技術の未来への関心を深めました。

総括

最後に山本教授から、将来ゲームクリエイターになりたいと思っている生徒は、今後しっかりと数学(特に線形代数)を学ぶ必要があることや、VR/AR技術は、観光地のPRや、外出困難な高齢者への疑似体験提供など、これからも幅広く応用が可能であることを述べ、生徒たちの情報分野での今後の活躍に期待を込めました。

<リンク>

山形市立商業高校【情報科 DXハイスクール】コンピュータグラフィックス入門とVR/AR 技術の活用 金沢工業大学 山本知仁教授

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