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「第19期 野々市市民カウンセラー連続講座」を学びの杜ののいちカレード にて2025年7月12日(土)?19日(土)に開催

金沢工業大学心理科学研究所と野々市市福祉総務課は、7月12日(土)?19日(土)の2週に渡り、野々市市民、野々市市に関係する方々を対象とした「第19期?野々市市民カウンセラー連続講座(以下 本講座)」を学びの杜ののいちカレード(野々市市立図書館)研修室にて開催しました。

本講座は金沢工業大学心理科学研究所と野々市市福祉総務課との協働により、平成26年度以降 継続的に実施し、今年度で12年目を迎える人気の講座です。「周囲の人の話や悩みを聴くコツ(傾聴)」や「難しい相談に際し紹介先となる専門窓口」を学びます。

学びの杜ののいちカレードでの研修風景

運営は、金沢工業大学大学院臨床心理学専攻の教員4名(大矢寿美子教授、松本圭教授、山上史野准教授、伏島あゆみ准教授)と、大学院生9名、野々市市健康福祉部福祉総務課から健康福祉部次長(福祉総務課長 兼任)はじめ他2名が担当しました。

開講挨拶として、大矢教授から市民カウンセラー連続講座を開始した背景と役割、期待される効果に加え、受講者にとって「他者の話を傾聴できるようになる」、「知り合いが増える」、「社会資源の知識が増える」、「受講者自身が幸せになる」等のメリットと、傾聴スキルの重要性について説明がありました。

また、今回も第15期と同じ「学びの杜ののいちカレード」であることから、図書館司書の方の協力も得て、コラボ企画として、計40冊にまで増えた「関連図書の紹介コーナー」を設けたところ、受講者は休憩時間や帰宅時に閲覧する等、更に興味や関心を深める一助となりました。

関連図書 紹介コーナー:計40冊

大矢教授の開講挨拶

運営においては、今回も大学院生がロールプレイのパート(2日間で計5回)を担当し、学生にとっても、より実践的な実習の場となりました。

大学院生によるロールプレイ開始前の良い例/悪い例の実演

ロールプレイ  1日目

ロールプレイ  2日目

山上准教授の講義風景

松本教授の講義風景

第19期は18~70代までの計19名(市民18名と本学学生1名)が修了証を受領し、当講座を終えました。

健康福祉部次長より修了証を授与

「傾聴」とは、コミュニケーションの基礎となるもので、カウンセリングだけでなく普段の生活や仕事、またプロジェクト活動など、人と関わるすべての活動において活用できるスキルです。当講座では「傾聴」に関する心構えを学ぶだけでなく、傾聴スキルを磨くため、実際に聴き手?話し手に分かれて「ロールプレイ」を重点的に行うことを特徴に掲げ、望ましいコミュニケーションのスキルをステップバイステップで学習できるようにしています。

また、班替えによって、毎回、異なる受講者同士でロールプレイを行うため、受講者にとっては異なる立場や年齢層の市民と触れ合う機会にもなっています。特に、普段、地域の方と触れ合うことの少ない学生によっては、世代や分野を超えた交流を深める貴重な経験の場にもなっています。

加えて、日常的な「よいこと」を記録するというウェルビーイング向上のためのワークを通した学びや、相談を受けた際に適切な窓口につなげるため、野々市市の担当者による社会資源情報(こころの悩み、多重債務、子育て?教育、DV、いじめ、自殺対策などの各種相談窓口等)の紹介を通して、幅広い知識を得ることができます。

実際に、第19期の受講者からは、以下のような感想や意思表明が寄せられました。

?ちょっと悩みを抱える方にも傾聴を通して、少しでも寄り添えそうです。

?傾聴力は、相手自身にも自分を見つめる機会になることを実感した。

?町内に一人暮らしで、ご高齢者の方がいらっしゃいますが、市民カウンセラーは民生委員の方のフォロー的なことをできるのではないかと思った。

?仕事での人間関係や子供と接する時の聴き方や話し出し方に役立つ。

?いろいろな年齢?経験の方と知り合えただけでなく、大学(学問の世界)との交流を持てたのも良かった。

?「よかったこと」を記述するホームワークを実施して、自分が幸せを感じる傾向が分かったので、気持ちを切り替えるツールにしようと思う。

?仕事で子供の話を聞くことが多いので、活かしていきたい。私生活でも活用していきたい。

このように、受講者は普段意識しない「話を聴く心構え」や「傾聴スキル」を体験的に習得し、日々の社会生活におけるウェルビーイング意識の高まりを実感できる講座となりました。

野々市市民カウンセラー連続講座のこれまでの活動

本講座(第1期)は、平成26年度に野々市市と金沢工業大学が連携して発足した事業で、「傾聴」についての講座の実施により、傾聴力を身に付けた人材=市民カウンセラーを野々市市内に増やすことで、野々市市をさらに住みよいまちにすることを目的としています。過去は4~5日間に渡る日程で、野々市市庁舎や金沢工業大学で年に2回開催していました。新型コロナ感染症拡大に伴い、令和2年度は中止となりましたが、これを機に令和3年度からは野々市市にぎわいの里ののいち カミーノに会場を移し、アクリル板設置や換気ができ、密にならない等の感染予防が可能な1Fホールにて再開しました。令和4年度からはコロナ前と同じ年2回の開催に戻し、その後も 学びの杜ののいちカレード研修室や野々市市役所ホール椿といった新たな会場を加え、野々市市との関係を更に深め運営しています。
第1期から第19期終了までの総修了者数は、これで416名となり、野々市市の総人口の約54,000人に対し、約0.8%を占めるに至りました。これからも市民間の自然な援助の活性化や孤立?孤独の予防に貢献できるよう当講座を継続していきます。

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