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【産学連携で地方創生に向けた人材を育成】
内閣府「地方大学?地域産業創生交付金事業」の一環で、小松マテーレとKITコーオプ教育プログラムを実施。学生が社員として熱可塑性炭素繊維複合材料の研究に取り組む
化学素材メーカーの小松マテーレ株式会社(石川県能美市)と金沢工業大学との産学連携で行われた「KITコーオプ教育プログラム」成果報告会が、2月26日(水)、金沢工業大学扇が丘キャンパス23号館パフォーミングスタジオで行われました。
KITコーオプ教育プログラムは金沢工業大学独自の産学協同型プログラムで、金沢工業大学が進める社会実装型教育の柱と位置づけられています。企業の第一線で活躍する技術者を「実務家教員」として招聘し、事前教育を実施。学生が長期間、社員として企業に雇用され、専門知識を活かして企業におけるリアルな課題の解決に取り組みます。また学生にとっては企業実務や研究開発現場を経験できる貴重な機会ともなっています。
【内閣府「令和5年度地方大学?地域産業創生交付金事業」の一環として実施】
石川県が申請し、金沢工業大学 革新複合材料研究開発センター(ICC)を拠点として実施する研究開発プロジェクト「地域で培われてきた高度な繊維?機械加工技術を活かした環境適合型複合材料川中産業創出プロジェクト」が、内閣府の「令和5年度地方大学?地域産業創生交付金事業」に採択されました。
本プロジェクトでは、金沢工業大学がハブとなり、複合材料産業において高度な繊維?機械加工技術を有する地元中小企業群が連携。デジタル技術による生産プロセスの高度化や素材の低環境負荷化に関する研究開発、素材?設計~評価に精通した専門人材育成を実施します。石川県内にある複合材料の「川中企業」群をクラスター化し、強靱なサプライチェーンの構築を目指しています。
このたびの小松マテーレとのKITコーオプ教育は、当内閣府事業の一環で行われた第一号となるもので、複合材料を研究テーマに行われました。
【共同開発された熱可塑性炭素繊維複合材料を研究テーマに実施】
小松マテーレと金沢工業大学 革新複合材料研究開発センターが共同開発した熱可塑性炭素繊維複合材料(CFRTP)「カボコーマ®ストランドロッド」について、機械工学科4年の堀 裕貴さんと、建築学科4年の谷本 早紀さんが、小松マテーレの社員とともに、その機械的特性評価や木材建築への耐震補強材としての活用に向けた課題検証に取り組みました。
2月26日の成果報告会には、小松マテーレ株式会社常務取締役技術開発本部長兼管理本部長の小川直人氏と、実務家教員として学生の指導にあたっていただいた奥谷晃宏氏、各学生のメンターとしてサポートいだいた中山武俊氏、細川穂奈美氏が参加。金沢工業大学からは大澤敏学長や各学生の指導教員、ICCの鵜澤潔所長や小田切信之教授など総勢20名が出席しました。
小松マテーレの小川常務と大澤学長による開会の挨拶の後、小松マテーレの奥谷氏より今回のコーオプの趣旨やテーマ設定について説明があり、各学生が取り組みについて発表しました。
堀さんは機械特性(引っ張り特性や温度特性など)を中心とした研究結果を、谷本さんは機械特性評価の結果と木造建築へ耐震補強として使用した際の実験結果を、それぞれ報告。両名とも卒業研究との関連性や、企業で働くという大学内とは異なる学びがあったことについても触れ、充実した内容であったことが伺えました。
学生からの発表後はメンター役の社員や指導教員からもコメントがあり、活発な質疑応答もなされるなど、本取り組みの重要性や有用性を感じさせる熱気あふれる報告会となりました。
内閣府事業における専門人材育成の取り組みとして、コーオプ教育プログラムは次年度以降も継続的な活用を予定しています。複合材料という共通性のあるテーマのもと、 革新複合材料研究開発センターと金沢工業大学の研究室間の連携や、先輩から後輩への広がり、そして企業との一層の連携拡大と強化が期待されています。
※「カボコーマ」、「fa-bo\ファーボ」は小松マテーレ(株)の登録商標です。
※「カボコーマ」、「fa-bo\ファーボ」は小松マテーレ(株)の登録商標です。
(関連ページ)
内閣府「令和 5年度地方大学?地域産業創生交付金事業」に採択 。金沢工業大学が拠点となり実施されるプロジェクト(2023.8.25)