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【優秀ポスター賞受賞】
アマゾン川流域における地層の年代を求めるための新規蛍光体材料の開発とその特性評価
大学院工学研究科バイオ?化学専攻に研究生として在籍中のフェルナンデスさん (岡田研究室所属)が令和6年度日本セラミックス協会北陸支部 秋季研究発表会において「優秀ポスター賞」を受賞した。同賞は上記研究会において行われた18件の学生によるポスター発表の中から、最も優秀であると認められた2件の発表に対して送られた。
ブラジル?サンパウロ大学から留学中のフェルナンデスさんは、南米?アマゾン川流域における地層の年代測定に応用する事を目的として新たな蛍光体を開発する事に取り組んでいる。年代を測定するためには地層から放出される微量の放射線量を正確に測定する必要があり、その手段としてフェルナンデスさんは蛍光体を使う事に着目した。今回新たに開発した蛍光体材料はナトリウムホウ酸塩(Na2B4O7)ガラスに銀(Ag)イオンを微量添加した物質物質である。この物質は過去の研究において熱蛍光特性を持つ事が明らかにされたが、今回の研究では別に輝尽蛍光特性を持つ事を明らかにした。ここで輝尽蛍光特性とは放射線のエネルギーが材料中に蓄えられ、その後、光を材料に照射する事で蓄えられたエネルギーが解放され、光として放出される現象を指す。放出される光の強度は蓄えられたエネルギー量に比例し、これは積算放射線量に比例するため、輝尽蛍光強度から放射線量を見積もる事ができる。
今回の研究では、Ag添加ナトリウムホウ酸塩ガラスが輝尽蛍光特性を持つ事に加え、その感度は熱蛍光に比べておよそ1000倍高いこと、最適な読出し条件、再利用するための処理条件などを詳細に明らかにした。
発表タイトル:Optically Stimulated Luminescence in Silver-Doped Sodium Borate Glass
著者:C. P. Fernandes1,2, G. Okada2, R. R. Rocca1, S. H. Tatumi1(1. University of Sao Paulo, 2. Kanazawa Institute of Technology, 3. Federal University of Sao Paulo)
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