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金沢工業大学 建築系の学生活動団体「Toiroプロジェクト」が キャリアプラザのリノベーションを実施。 デザインから施工までを手がけ、知識を実践する貴重な機会に

建築学科の学生たちの課外活動団体「Toiroプロジェクト」が、金沢工業大学進路開発センターにあるキャリアプラザのリノベーションを手がけ、この度、空間が完成しました。

1st Step完了時にキャリアプラザで集合写真に収まるToiroプロジェクトのメンバーと下川雄一教授

今回のリノベーションは、金沢工業大学 進路開発センターがToiroプロジェクトへ打診し、2022年3月にスタートし、2023年4月14日に1st Stepが完了し、一旦組み込み内観の雰囲気を確認しました。

その後、就活等で一時中断後に作業を再開し、最終の塗装作業等を終え、2023年9月30日に完了しました。

キャリアプラザは、企業の説明会のチラシが閲覧できるなど就職情報の発信?閲覧の場となっていましたが、進路開発センターはこのキャリアプラザを再構築し、「ここに来れば就職活動ができる」「他の学生と励ましあいながら就職活動ができる」という空間をつくりたいと考え、設計?デザインから施工までをToiroプロジェクトに依頼しました。

リノベーションにより、それまでの事務的な雰囲気から、柔らかな雰囲気となり、学生が立ち寄りやすい空間となりました。改装前は薄暗い雰囲気でしたが、壁や床、家具等の色使いや光の入り具合により、キャリアプラザ全体を明るい雰囲気に変えることに成功しました。

また、これまで、夕方の西日の入りが強く、職員の仕事環境の阻害要因になっていましたが、西側の窓から柔らかく光を採り入れる特殊なパネルユニットをデザインすることでこれを改善しました。加えて、このユニット自体を企業などの資料をおける掲示板としました。

Toiroプロジェクトによるリノベーション

Toiroプロジェクトは、進路開発センターからのリノベーションの依頼を2022年3月に受け、5班に分かれてそれぞれの班がリノベーションのアイデアをまとめました。当初案には、七宝の模様や勾玉など伝統的なモチーフを取り入れたアイデア、ビビッドな色を空間全体に配したアイデア、利用者である学生の動線?回遊性に着目したアイデアなどがありました。学生たちは各班のアイデアを進路開発センターの担当者にプレゼンテーションで発表。フィードバック、計3回のプレゼンを経て、5チームの魅力的な提案をいいとこ取りした最終案がまとまりました。

最終案のデザインコンセプトは「賑わいあふれる、暖かみのある空間」で、前向きに活発に活動できる空間という当初のコンセプトに沿い、木のぬくもりを基調としたデザインとしてまとめました。当初は既製品の棚などの使用も考えていましたが、学生たちは学生の立場でできることについて考え、一部の棚や机を独自にデザインすることに。また、空間の阻害要因になっていた西日を単に遮るのではなく、新たに設ける資料掲示用のパネルやルーバーに光の入る隙間を空け、逆に西日を活かす工夫を施しました。机?椅子などの家具の選定や、キャリアプラザの壁面や床のカーペットのデザイン変更も手がけました。

アイデアが固まった後、空間の施工についてもToiroプロジェクトの学生が手がけました(施工期間:2023年2月~4月、9月)。Toiroプロジェクトの学生たちは、これまでに椅子や机などの製作経験がありましたが、ルーバーなどこれまでに製作したことのない装置などもあったため、夢考房の技師や建築学科の下川教授などにアドバイスをもらいながら製作に取り組みました。施工中にも、実際の材料?空間に合わせて塗料の変更などの見直し?改善を行い、リノベーションしました。

リーダーを努めた鈴木翔登さん(建築学科4年)のコメント

「通常の学生生活では経験できない、実際の空間のリノベーションを経験でき、貴重な経験となりました。自分たちがやりたいことと、クライアント(進路開発センター)の要望のバランスをとりながら、デザインを行いました。キャリアプラザに設けたルーバーは、モデリングソフトでシミュレーションしていた以上に光の入り具合がきれいで、光の漏れ具合が間接照明のようになっています。スケジュール調整の大変さなども実感しましたが、空間が完成し、できあがった空間に満足しています。」

左:改装前のキャリアプラザ/右:改装後

左:改装前の西側廊下/右:改装後

完成したキャリアプラザ

完成した排煙用の開き扉 完成したキャリアプラザ会議室側の壁

完成した打合せ用デスク 2種

進路開発センターへのプレゼン風景施工中の風景

リノベーションを通して

完成後、プロジェクト関係者による振り返り会を行いました。メンバーからは、「これまでは関係するクライアントから具体的な構想や指示がありやりやすかったが、今回は学生のイマジネーションを引き出すために、あえて非常に自由度が高いテーマであり、アイデアを練るところから、どのように進めていったらよいかを考えることに苦労した」との声がありました。「空間づくりを進める過程では非常に苦労したものの、社会人となってからの実務では、こういった過程を経ることが必要であることを実感した」、「やり遂げたことで達成感を味わえた」、「メンバー間の絆が深まった」等、様々なよい経験を得られたといった声が聞かれました。

今回のリノベーションを通して、プロジェクトの学生たちは授業で学ぶ建築の知識を実践することができました。学生たちは授業を通して建築の勉強を行っていますが、自身の設計?デザインが実際に施工され実現する機会は多くはありません。進路開発センターを顧客として、設計案のプレゼンテーション、ディスカッション、施工などを経験することができ、知識を実践し自信につながる貴重な経験となりました。今後、同様な活動をする後輩への動機づけや、実施するうえでの注意点が引き継がれ、これがプロジェクトの伝統につながっていくことが期待されます。

特に西日対策のパネルユニット部分は、西日が美しくかたちを変える空間としてこだわったもので、今回の目玉の1つです。本学へお越しいただいた際には、学生たちが生み出し、さらには思いを込めた空間をぜひご覧いただけたらと思います。

Toiroプロジェクト

Toiroプロジェクトは、建築学科を中心とする学生たちによって組織される課外活動団体で、建築を学ぶ活動の一環として、地域の各種団体?個人からの要望に応じてデザインからものづくりまでを一貫して行っています。「Toiro」(十色)という名前の通り、建築の領域だけを見てもデザインや情報技術、構造や環境、構法や施工など様々な分野があり、それらを総合的な知識と能力として融合する力を実体験からよりリアルに学ぶため、学外(社会)に学びの場を求めるべきという考えのもと展開しているプロジェクトです。これまでに、野々市市本町にある空き家のコミュニティカフェへの改装(2016年)、株式会社小松電業所の総務部オフィスのリノベーション(2018年)、七尾城跡の休憩所の内装デザイン(2021年)などの実績があります。2023年10月現在のメンバー数は87人です。

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