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松井くにお研究室が開発した「コード化点字ブロック」がグッドデザイン賞受賞
情報工学科 松井くにお研究室(指導教員 松井くにお教授)が開発した音声情報提供システム「コード化点字ブロック」が、2022年度グッドデザイン賞を受賞しました。金沢工業大学のグッドデザイン賞受賞は2009年の「月見光路」、2015年の「しお?CAFÉ」に続いて3度目です。表彰式はグランドハイアット東京(東京都?港区)で11月1日(火)に行われます。
松井研究室が「コード化点字ブロック」の開発を始めたのは2018年。金沢工業大学が金沢市とAI技術地域展開検討会を設立したことをきっかけに、「金沢市AI技術地域展開モデル事業」の選定を受け、AI技術を使った視覚障がい者向け歩行サポートシステムの開発がスタートしました。
このシステムは、点字ブロックの25個ある点に色をつけた「コード化点字ブロック」をスマートフォンのアプリで読み込むことで、音声情報を提供するもの。視覚障がい者の方が誘導情報を選択できるのはもちろん、観光客や外国人に向けの観光情報を提供することもできます。コード化点字ブロックは、歩行者の進行方向によって異なる情報の提示が可能で、1枚の点字ブロックにつき2の25乗で約3,000万種類、さらに4方向あわせて1億3,421万7,728通りの情報提示が可能です。
香林坊前交差点付近の「コード化点字ブロック」。リング状にマークを施すことで、マークが摩耗しにくくなるよう改良しています。スマートフォンアプリをダウンロードすることで誰もが利用できます。
現在、視覚障がい者向けの歩行サポートシステムはいくつか運用されていますが、点字ブロックの延長線上に配置することができない、細かいパターンのため小さなゴミがあるだけで認識が難しくなるなどの傾向がありました。しかし、ブロック突起の周囲にリング状のマークが施された「コード化点字ブロック」は、点字ブロック延長線上に配置できること、また、小さいゴミがあっても正確に認識できます。これまで金沢21世紀美術館や国立工芸館周辺などに敷設され、今年5月からは香林坊の国道157号の歩道に追加敷設されています。
グッドデザイン賞審査委員の評価
既存の点字ブロックを張り替えることなく、比較的容易な設置によって音声案内情報の機能を実現できる点が評価できる。また、視覚障がい者だけでなく、健常者にとっても案内情報が得られるメリットがあるため、点字ブロックが特別な人のためのものという認識を変える提案となっている点も好ましい。実証実験の段階であるため、より広範囲の導入に向けて検討を要する点もあるが、今後の社会において重要な役割を果たすことが期待される。
Walk&Mobile -コード化点字ブロック認識アプリ
スマートフォンアプリ「Walk&Mobile -コード化点字ブロック認識アプリ」を使用すると、コード化点字ブロックから情報を読み取ることができます。下記リンクからダウンロードできます。
App Store(iOS)版:
https://apps.apple.com/au/app/walk-mobile/id1535368125
Google Play(Android)版:
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.matuilab.walkandmobile
グッドデザイン賞2022:
https://www.g-mark.org/award/describe/53892?token=nTyP9AtcK9