電気電子工学科?伊東研究室の桔川洸一さん、麦谷彰彦さんの査読付き論文が、米国IEEEの学会誌に掲載。世界トップクラスの電力変換効率の実現など、無線電力伝送の研究成果が評価

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2022.7.8

電気電子工学科の伊東研究室の大学院生だった桔川洸一さん、麦谷彰彦さんが執筆した論文（査読付き論文）が、電気?電子分野で世界最大の学会である米国の電気電子学会「IEEE」の学会誌に採択?掲載されました。今回の採択?掲載は、桔川さんと麦谷さんの大学院在学中の研究成果が認められたものとなります。

現在、伊東研究室ではマイクロ波?ミリ波での無線電力伝送の研究に取り組んでいます。伊東研究室が扱う920MHz、2.4GHz、5.8GHzの電波を用いる無線電力伝送システムは法制化され、急ピッチで実用化が進められています。このような情勢のなか、2010年度からの研究室での研究の積み重ねが、世界トップの性能を有するデバイスを多数生み出しています。これらの成果が認められ、現在、無線電力伝送に関し3つの国家プロジェクトを受託するとともに、7社との共同研究を実施中であり、さらに1社との共同研究契約を予定しています。2021年度より、ソフトバンク?京都大学とともに、28GHz帯における次世代携帯電話B5Gと無線電力伝送の融合システムの検討をスタートしています（ニュース：完全ワイヤレス社会の実現に向けたワイヤレス電力伝送の高周波化および通信との融合技術に関する研究開発を推進）。また令和3年度より大阪大学が推進する量子コンピュータのミドルウェア開発の国家プロジェクト（*）に参画し、ソフトウェアから量子ビットを駆動するためのマイクロ波装置に用いる電波生成回路の研究を開始しています。

＊令和2年度に国立研究開発法人科学技術振興機構（JST）の「共創の場形成支援プログラム（COI-NEXT）」本格型?政策重点分野（量子技術分野）で採択された「量子ソフトウェア研究拠点」。

桔川洸一さん（現在、三菱電機株式会社勤務）の論文

在学時、桔川さんはWiFiと同じ周波数の2.4GHz帯を使い整流回路の開発を行いました。高周波の領域で最大クラスの電力10Wでの整流を実現するとともに、同電力クラスで世界トップクラスの電力変換効率を実現し、高く評価されました。また、電力変換効率と回路パラメータの関係を解析式で表すことで、整流効率の限界値を定式化し、大電力化?高効率化への設計指針を得ています。今回の成果は、国家プロジェクトの最終目標（2022年度達成予定）である5.8GHzでの10W整流実現に向けての初期成果であり、桔川さんの貢献をもとに実現の可能性を明らかにすることができました。掲載された論文誌「IEEE Transactions on Microwave Theory and Techniques」はマイクロ波分野のトップジャーナルであり、採択率は30%程度です。

論文題目：A 2.4-GHz 10-W Class Bridge Rectifier and Its Efficiency Analysis With the Behavioral Model

掲載誌：IEEE Transactions on Microwave Theory and Techniques（2022年3月号掲載）

受賞者：桔川洸一さん

著者：桔川洸一さん（筆者）、佐圓恒啓さん（卒業生）、坂井尚貴研究員、伊東健治教授

指導教員：伊東健治教授

掲載URL：https://ieeexplore.ieee.org/document/9645373

麦谷彰彦さん（現在、中部管区警察局勤務）の論文

在学時、麦谷さんは桔川さん同様、2.4GHz帯での受電回路（アンテナと整流器を組み合わせたレクテナ）の開発を行いました。麦谷さんは、すべての回路機能を組み入れたアンテナを新たに実現し、アンテナにダイオードを直接接続する新たな構成により、世界トップクラスの電力変換効率を実現し、高く評価されました。この成果は2020年9月に発表した、世界最高効率を実現した5.8GHz帯レクテナ（ニュース：マイクロ波（5.8GHz）を用いた無線電力伝送で世界最高の電力変換効率を達成）の原型であり、麦谷さんの貢献をもとに開発されたものです。

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