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カーボンニュートラル実現に向け、革新複合材料研究開発センターが、 CFRPを用いた洋上風車?水素タンク等の技術開発へ。 経済産業省の「エネルギー構造高度化?転換理解促進事業」の一環として

石川県が金沢工業大学 革新複合材料研究開発センター(ICC)等とともに申請した事業が、経済産業省の令和4年度第1回「エネルギー構造高度化?転換理解促進事業」に採択されました。カーボンニュートラル実現に向け、これまでの炭素繊維複合材料(CFRP)の研究?開発の知見を活かし、洋上風車、水素タンクの実用化に向けた技術開発を実施します。

採択された事業「石川県産業の強みを活かしたエネルギー構造高度化に向けた技術開発推進事業」は、CFRP関連の技術?ノウハウを活かし、洋上風車、水素利活用分野の技術開発を行うことで、県内企業の関連分野への参入による地域経済の活性化を促進するものです。ICC、県工業試験場、県内企業を中心とした技術開発推進体制を協議会形式で構築し、浮体式垂直軸型洋上風車、水素タンクの実用化に向けた技術開発を実施します。

ICCは、2014年6月の開所以来、CFRPを中心とした複合材料を幅広い分野で利用するための適用技術の研究、企業と連携したバリューチェーンの構築、製品開発の支援などを産学連携で進めてきました。企業の垣根を超えたオープンイノベーション環境のもと、多くの機関?企業とアンダーワンルーフで研究開発とプラットフォーム構築に取り組み、日本国内でも有数の複合材料研究の研究センターとして歩みを進めてきました。

今回の事業では、ICCで蓄積してきた技術?ノウハウの強みを活かし、エネルギー構造高度化に向けた具体的な社会実装を行うため、協議会形式で構築される技術開発推進体制に参加するとともに、浮体式垂直軸型洋上風車、水素タンクをターゲットに、実用化に向けた技術開発を実施していきます。

金沢工業大学は、今回の事業への参画を通し、カーボンニュートラルの実現、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

浮体式垂直軸型洋上風車実用化に向けた技術開発

経済産業省が2020年12月に策定した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略(以下、グリーン成長戦略)」には、2040年までに3,000万kW~4,500万kWの浮体式を含む洋上風力発電の導入目標が掲げられています。これは10MW風車3,000台~4,500台に相当し、こうした大量導入を行うためには、水深60m以上の海域でも設置可能な浮体式洋上風車の導入が必要となってきます。

今回の事業のなかで、浮体式洋上風車の中でも特に、今後次世代型の風車として期待される「浮体式垂直軸型洋上風車」の技術開発が進められます。今後、風車の大型化、ブレードの輸送、保守性等の課題を解決すべく、風車の実験モデルを製作し、実証実験等を行っていきます。

浮体式垂直軸型洋上風車のブレードには軽量?高強度な特徴を持つ炭素繊維複合材料が適しており、ICCは県内企業とともにブレード部材の整形?接合?組み立てを担当します。

水素タンク実用化に向けた技術開発

水素は、「グリーン成長戦略」において「発電?輸送?産業など幅広い分野で活用が期待されるカーボンニュートラルのキーテクノロジー」と位置づけられています。また、水素は、発電したエネルギーを水素の形で貯蔵することで、蓄電池のように充放電ロスなく貯蔵することができます。そのため、気象条件等によって発電量が不安定となる再生可能エネルギーの貯蔵効率を向上させることができるという観点で、エネルギー構造高度化にも資する重要な技術であると言えます。

水素の活用先として、カーボンニュートラルの実現に向けて、水素で走る燃料電池トラックの商用車の開発が望まれています。この燃料電池トラックの開発には、軽量かつ高密度で水素を貯蔵可能な水素タンクの実現が必要となってきます。今回の事業では、熱可塑性炭素繊維複合材料ランダムシート、天然繊維複合材料を用いて、部品の耐久性や断熱性などの、水素タンクの技術課題の解決を図ります。

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