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「ニューノーマル時代のKITの在り方」をテーマに「KITハッカソン2020」をオンラインで開催。働き方や生活そのものが大きな転換期を迎える中、授業や学生同士のコミュニケーションの仕組みを真剣に議論

「ニューノーマル時代のKITの在り方」をテーマにオンラインで行われた

金沢工業大学では、「ニューノーマル時代のKITの在り方」をテーマとした「KITハッカソン2020」を2020年9月7日から9日までオンラインで開催しました。

*ハッカソン: hackとmarathonからの造語。ソフトウエア開発者が短期間でプログラムの開発やサービスの考案などを共同作業で行い、その技能やアイデアを競うイベント

金沢工業大学では2015年9月からKITハッカソンを毎年数回程度実施し、今回で11回目の開催となります。

今回のハッカソンには、情報工学科をはじめ,応用バイオ学科、応用化学科、建築学科、心理科学科、国際高専から20名の学生?教員が参加。まずアイデアソン?ハッカソンのためのインプットとして、講演やパネルディスカッションを実施し、その後、参加者はアイデア出しからモックアップまで、オンラインで開発に取り組みました。

コロナ禍において、働き方や生活そのものが大きな転換期を迎えており、「ニューノーマル」と呼ばれる時代が到来しつつあります。金沢工業大学においても、リモートによる授業やディスカッションが日常となり、大きな変革期にあります。新たな時代の大学の日常をどのように創造するかが今求められており、そのアイデアを今回のハッカソンで考え出しました.

初日は、応用バイオ学科の長尾隆司教授による基調講演「当たり前と多様性の生物学」がオンラインで行われました。その中で長尾教授は、今回のコロナ渦は必ずしも人が戦う相手として考えるのではなく、人間が成長するために必要な突然変異の一つの過程なのかもしれないことや、人が常識として考えてきた事柄に対して、「リスクを恐れず当たり前を疑う」ことの重要性について触れました。

基調講演に引き続き行われたパネルディスカッションでは、長尾教授に加え、心理科学科の伊丸岡俊秀教授、建築学科の下川雄一教授、情報工学科の中沢実教授により、それぞれの教員の専門分野に関する事や、前期中に行われたオンライン授業における工夫点や問題点がどこにあったのかなど、話が行われました。そして、それがどこまでICT技術でカバーできるのか、心理学的にどのような状態に持っていけばオンライン環境を享受されるのか、建築学としてどのような仮想空間スペースが好ましいのか、生物学としての社会性などについて、活発に議論がなされました。

これを受けて参加者は、アイデアソンとハッカソンを通じて2日間半の議論を行い、最終日に5つのアイデアとプロトタイプについて発表を行いました。


チーム0「KIT アイコンタクト?カウント?システム」

チーム0では「オンライン授業における理想と現実、静止した闇の中」を課題としました。

オンライン授業では「見える顔はいつも同じ」「私語のない世界」「オンライン授業の限界?」といった課題が指摘される中で、解決策として、コミュニケーションの基本である講師と受講者間のアイコンタクトを専用カメラで計測、アイコンコンタクトの成立をAIで判断し、アイコンタクトの回数をカウントし表示するというアイデアの商品化を目指しました。

チーム0 発表資料より

チーム1「大学とSNS」

学生、特に新入生のコミュニケーションの機会は失われている一方で、各団体は各種のSNSで自由に人を集めるため、学内のアクティビティ管理が難しいことが課題となっています。

チーム1では解決策として学内にSNSを作り、学生同士の出会いを促進することを提案しました。

チーム1 発表資料より

チーム2「オンラインにも教室の暖かさを」

チーム2では前学期に実施したオンライン授業の中で十分な友好関係を築けていない学生がいることを課題にあげました。そして授業開始前から、コミュニケーションを取ることのできる環境を用意することで大学生間の友好関係をサポートしたいという考えから、解決策として「座席などをクリックするとその座席周辺の人の会話を聞ける!」「講義機能を立ち上げるとその場で講義を聴くことができる!」「個別のグループなども設定可能に、講義や普段の会話に使える」独自のアプリケーションを提案しました。

チーム2発表資料より

チーム2が提案したアプリケーション

チーム3「その質問イイね」

チーム3では、オンライン授業の問題点として、学生目線では「質問しづらい」「友達との意見交換ができない」「授業態度の点数が他の評価項目に変わった」という課題があり、また教員目線では「学生からの質問が減少」「一方的な授業に思える」「授業態度の点数が付けづらい」「学生とのコミュニケーションが取りづらい」といった課題をあげました。そして解決策として学生が質問しやすい「その質問イイね」を提案しました。

チーム3発表資料より

チーム4「クラスメイトを意識させよう作戦」

チーム4では、オンライン授業では動画や講話が主な内容となっているため、授業が終わった後も関われる友達が作れなかったことを問題にしました。そのため学習においては「勉強の理解を深めるための話し合いができる友達を欲している」、また友達においては「特に、1年生は友達を作る機会があまりなく、作れる機会を欲しがっている」ことをニーズととらえ、ZOOMとSlackを用いた「グループ活動を多く取り入れた授業」を提案しました。

そして「現状のオンライン授業だと勉強の理解を深め、気軽に話し合いができる友達を作りにくいため、情報工学科全体でグループワークの授業を増やしてもらいたいです」と締めくくりました。

チーム4発表資料より

今回のハッカソンでは、全体を通して、ニューノーマル時代におけるクラス内での学生同士のコミュニケーションの仕組みが真剣に検討されました。

最終日の講評では、「ぜひ起業して、継続するべき」という意見も出され、大いに盛り上がった3日間となりました。

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