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電気自動車等の精密部品や電気機器に欠かせない真鍮(黄銅)。環境負荷の低減から導入が進む鉛フリー真鍮の加工精度向上に関する研究が評価され、大学院機械工学専攻1年 坪口凌悟さんが工作機械技術振興賞?奨励賞を受賞
大学院工学研究科機械工学専攻博士前期課程1年の坪口凌悟さんの研究「鉛フリー真鍮の小径穴あけ加工に関する研究 (γ相が切りくず排出性に及ぼす影響)」が、新規性、独創性などが評価され、公益財団法人工作機械技術振興財団から第39次工作機械技術振興賞?奨励賞を受賞しました。贈賞式は6月18日(月)に霞ヶ関ビル35階の東海大学校友会館で行われました。
(財)工作機械技術振興財団では工作機械技術に関連する論文の中から、新規性、独創性、産業への応用性などを勘案し、優秀な論文に対し、工作機械技術振興賞として論文賞と奨励賞の2種の賞を贈り、表彰しています。奨励賞は、工作機械の技術に関する学生の優秀な卒業研究発表に対して賞を贈り表彰するもので、本年は日本機械学会、精密工学会学および砥粒加工学会における卒業研究講演論文集の中から約150件が推薦され、審査委員会の慎重な選考を経て、坪口さんを含む9件が選ばれました。
坪口さんの「鉛フリー真鍮の小径穴あけ加工に関する研究 (γ相が切りくず排出性に及ぼす影響)」は、(社)日本機会学会北陸信越学生会第47回学生員卒業研究発表講演会で発表されたもので、独創性と発展性に富む内容が評価され、日本機械学会北信越支部賞学生賞を今年3月に受賞しています。
【当研究の社会的意義】
真鍮(黄銅)は被切削性に優れ、磁性を帯びることもないため、自動車や電気自動車などに搭載される精密部品や各種の電気機器に欠かせない材料ですが、従来は被切削性向上のため鉛を含有させていました。近年、環境負荷の低減や人体への配慮から鉛フリー真鍮の導入が世界的に進みつつありますが、被切削性の面で様々な課題が依然残されています。この度受賞した研究は小径穴あけ加工時の切くずの排出に注目したものです。加工時に切りくず詰りが生じると穴開け工具(ドリル)の折損に繋がり、精密加工を進める上での障害となります。当研究は真鍮材料の硬質組織であるγ相を起点として切りくずの分断性を向上させることにより、切りくずの効果的排出を提案したもので、鉛フリー真鍮の加工精度を向上させるものとして評価されました。
【受賞論文】
「鉛フリー真鍮の小径穴あけ加工に関する研究 (γ相が切りくず排出性に及ぼす影響)」
【指導教員】機械工学科 加藤秀治教授