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地磁気の10億分の1という極微弱な磁場を計測可能な高感度磁気センサで脳の神経生理学的機能を「見える化」。
金沢工業大学の技術支援のもと、リコーが開発した脳磁計測システムが国内市場向け販売開始。病気の早期発見、早期治療に期待
金沢工業大学先端電子技術応用研究所の技術支援のもとリコーが開発した脳磁計測システム「RICOH MEG」が国内市場向けに販売が開始され、埼玉県熊谷市の医療法人 熊谷総合病院に今年7月に新設された「PET総合検診棟」に採用されました(販売名:脳磁計測システム RICOH160-1 医療機器認証番号:22100BZX00914000)。質の高い検査で病気の早期発見、早期治療、治療効果の判定までを可能にするものとして期待されています。
脳磁計測システムは、人間頭部の神経細胞の活動に伴って発生する極微弱脳磁場を無侵襲で計測し、脳の神経生理学的機能をリアルタイムで測定し、脳磁場の解析と脳磁図の作成を実現する計測装置です。脳の神経生理学的機能を「見える化」することにより脳の状態を把握できるため、てんかんの診断などに活用されているほか、認知症などの他の疾患への応用も期待されています。
金沢工業大学先端電子技術応用研究所では超伝導を利用した高感度の磁気センサ(SQUID)の研究開発に1998年より取り組んでいます。研究所ではこのセンサを利用してヒトの脳や脊髄の神経が発する極微弱な磁場(地磁気の10億分の1程度)を計測する研究に加え、測定された磁場を正しく校正して、磁場の源である神経電流の位置と大きさを推定する技術を開発しています。
このたび国内市場向けに発売が開始された「RICOH MEG」はこれらの技術を活用しリコーが医療機器として完成させたもので、2017年12月に米国市場で販売が開始されています。
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