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耐震に関する産学共同研究の成果を取り入れ実証実験を開始。 白山麓キャンパス「比咩の湯」に白山地区産の杉を使用した木製源泉槽を実装。森林資源の活用による地方創生に期待
学校法人金沢工業大学「白山麓キャンパス」(石川県白山市瀬戸辰3-1)内に平成30年4月20日(金)、教育研究を目的にオープンした "はくさん比咩の湯温泉「比咩の湯」"では、地元白山地区の杉を使用した木製源泉槽が使用されています。
この木製源泉槽は、金沢工業大学建築学部建築学科の後藤正美教授の研究室(木構造、耐震工学)と日本木槽木管株式会社(神奈川県横浜市)との耐震構造に関する共同研究の成果を設計に反映したもので、森林資源の活用による地方創生の取り組みとして期待されています。
白山麓キャンパスは、国際高等専門学校の全寮制校舎と、地域課題や企業課題に産学官の連携で取り組む金沢工業大学地方創生研究所の実証実験キャンパスとして2018年4月に完成しました。キャンパスの一角には地下1,800mから湧き出ている良質な源泉を引いた、はくさん比咩の湯温泉「比咩の湯」があり、日本木槽木管株式会社が設計?製造した木製源泉槽が設置されています。
木槽は水や雨(弱酸性)、海水(弱アルカリ性)などに強く、優れた断熱性能を有しています。また製作過程でのライフサイクルCO2排出量が少なく、廃棄処分をする場合には再生紙やウッドチップとして再利用できるなど環境面でも注目されています。
日本木槽木管株式会社製の木槽は、従来の設計及び製造方法でも耐震性に優れ、福島県いわき市の病院に納入されていた受水槽(150t×2基/屋外設置/被災時納入後20年以上経過)は、2011年東北地方太平洋沖地震においても損傷が無く、断水中の数日間にわたって病院運営に貢献しました。
同社では耐震性能のさらなる向上を目指して、2011年から、金沢工業大学後藤正美教授の研究室と共同研究を進めています。このたび「比咩の湯」に設置された木製源泉槽は内径3300×高さ3300(mm)の縦型円筒形の屋外設置木製タンクで、有効容量は20立方メートル。白山地区産の杉を使用し、設計と製造方法には後藤研究室との共同研究の成果を取り入れています。また木槽の内部には漆を塗布し、耐久性を高めています。
金沢工業大学では引き続き日本木槽木管株式会社と共同で、白山麓キャンパスで実装された木製源泉槽の耐久性等に関する実証研究を進めるとともに、木槽内部の漆塗りの抗菌性と保温性に関しても、バイオ?化学部応用化学科 土佐光司教授の研究室(環境工学)が日本木槽木管株式会社と共同研究を進めてゆく予定です。