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「カシミヤ」製品の混用率を科学的に測定する手法を実用化
金沢工業大学ゲノム生物工学研究所は、カシミヤの混用率を科学的に測定する手法の開発に成功しました。12月1日より、(一財)ボーケン品質評価機構を受付窓口として、この手法を用いた試験を開始する予定です。
当測定手法開発?実用化の社会的意義
カシミヤは世界的な供給が限られ、羊毛類などと比べてはるかに高価なため、他の獣毛繊維との混用も後を絶たず、社会的な問題となっています。
セーターなどの製品中の混用率を定量的に測定する技術は、光学顕微鏡や電子顕微鏡を用いて繊維の太さや毛髄の状態などの情報をもとに種類を判別し、本数を数える手法が現状ではほとんど唯一の手法で、鑑別者の技量に依存する部分が大きいほか、カシミヤと形状がよく似ているヤクの毛が混入される場合は判別が難しく、新しい獣毛鑑別技術の開発が強く求められています。
これまでDNAを用いる方法などが提案されてきましたが、定性的な分析(どの種類の獣毛が混入されているかを分析)は可能なものの、定量分析(混用の割合分析)では実用化されている方法はありませんでした。
このたび、金沢工業大学ゲノム生物工学研究所がボーケン品質評価機構との共同研究で開発した手法は、ペプチド(タンパク質のアミノ酸配列)を使って獣毛繊維の混用率を測定するもので、定性的な分析はもちろん、定量的にもかなりの精度で混用率が測定できるため、カシミヤ?キャメルヘア工業会からも早期の実用化が期待されています。
新しく開発した手法は、毛を構成するペプチドが動物ごとに少しずつ異なることを利用して、動物種を判別するものです。この手法を用いることで測定者に左右されずに客観的な結果が得られるほか、分析時間が短い、他の獣毛への応用が可能であるなどの特徴があります。