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虎ノ門大学院ブログ
2024年01月27日

JAUIP×KIT共催セミナー『人工知能(AI)を活用した知的財産実務の現状と今後』を開催。定員を超える申込みがあり、約100名が参加しました。

近年急速に発展している人工知能(AI)技術。知的財産の領域でも実務への活用が進み、大きな変化が生まれつつあります。

こうした現状を受けて「AIの活用がどこまで進んでいるのか」「これからどのように知的財産実務が変わっていくのか」をテーマに、最先端のAIシステム開発に取り組んでいる有識者の方々をゲスト講師にお招きし、新しい時代の知的財産実務の在り方について検討するセミナーイベントを1/20(水)に開催しました。

ゲスト講師は3名のAI活用専門家。株式会社AI Samuraiの代表取締役として活躍する白坂一氏、Axelidea株式会社の代表取締役の西田泰士氏、そして、特許庁の情報技術調査官である櫛引明佳氏です。
(※冒頭のイメージ写真は右側から、白坂一氏、西田泰士氏、櫛引明佳氏、加藤浩一郎教授)

AIに対する関心の高さを反映して、定員100名のところ満席のお申し込みを頂き、当日は虎ノ門キャンパスでの対面参加の方々に加えて、オンライン参加の方も多くいらっしゃって、北は北海道から南は鹿児島まで、日本全国からご参加いただきました。

本セミナーは、知的財産に関する教育?研究に従事する専門職大学院および大学院修士課程が、関係機関との協調を図ることを目的に設立されたJAUIP(知的財産大学院協議会)との共催です。イベントの冒頭でも、知的財産大学院4校の紹介がありました。

?大阪工業大学大学院 知的財産研究科
?金沢工業大学大学院(KIT虎ノ門大学院)イノベーションマネジメント研究科
?国士舘大学大学院 総合知的財産法学研究科
?日本大学大学院 法学研究科 知的財産コース


■基調講演その1.「特許3.0 生成AIを活用した知的財産実務改革」



最初にお話いただいたのは、株式会社AI Samuraiの代表取締役の白坂一氏。IP Landscapeと生成AIを利用した特許申請支援ツール「AI Samurai」を展開しておられます。ChatGPTを使った「対話型の特許書類作成システム」ほか、作成?評価?検索まで一貫してサポートしています。

こうしたソリューションが誕生する中での変化の一つが、出願の場面において「AI出願」「弁理士出願」「AI?弁理士協働出願」というスピード?コスト?質の異なる3つの選択肢が生まれたこと。例えばAIで仮出願して、後日より質の高い方法で追加出願するという戦略も可能になるとのこと。他にもAIを活用することで起きる市場の変化や、可能になるアイデアを提示して頂き、新しい世界の到来を実感するお話でした。


■基調講演その2 .「AIを活用した発明創出活動について」



続いてお話いただいたのは、Axelidea株式会社の代表取締役である西田泰士氏。同社のAXELIDEA Patent?は、人類の英知である約125万件の膨大な特許文献から学習し、AIと人の協働で質の高いアイデアを多数生み出せるサービスです。

人とAIの競争という議論もあります。この点について、西田氏は人とAIの「相乗効果」の世界を目指すべきと提案されています。AIがあることで「知識の拡張」「視点の拡張」「スキルの拡張」が可能になるため、アイデア創出においてAIは「創造性の産業革命」をもたらすものと捉えることができるとのことです。


■基調講演その3.「特許庁におけるAIの活用の取り組みについて」



最後にお話いただいたのは、特許庁の人工知能関連技術活用可能性検証プロジェクトチームの事務局長である櫛引明佳氏。多方面でのAI活用を進めている特許庁におけるAI技術の活用とその成果を紹介していただきました。

令和4年5月に、新たなアクションプランを策定?公表した特許庁。特許行政事務にAIを適用するために業務全体分析を行い、AIの利用が有効と見込まれる約20の業務を選定しました。「特許分類の付与」「先行技術調査」「特許審査の管理業務」「先行図形商標の調査」「先行文字商標の調査」「指定商品?役務調査」「先行意匠調査」などの領域で導入プロセスが進んでいるとのことです。

今後もデータの改善、機械学習モデルの制度向上、アジャイル開発の継続などを通じて、特許庁におけるAI技術の活用をさらに推進し、審査の品質と効率のさらなる向上に取り組むとのことです。


最後には、KIT虎ノ門大学院の加藤浩一郎教授による進行のもと、登壇者全員でのパネルディスカッションを実施しました。



パネルでは、AIを活用した革新的な発明プロセスに焦点を当て、AIと人間の協働の重要性や、異分野の知識を取り入れることの価値が議論されました。同時に、AIが生成する文書の品質と専門家が求める品質の間のギャップという課題についてもテーマとなりました。

参加者アンケートで皆様から寄せられたコメントを見てみても、セミナーの内容充実ぶりが伝わってきます。一部抜粋してご紹介いたします。

「知財の業務でのAI利用が想定より進んでいる点を伺えたのが興味深かったです」

「AIと人間の共創という考え方に共感を得ました」

「近い将来、AIをどう使いこなすか、が弁理士(審査官も?)の腕前を決める大きな要素になるのだと思います」

「ゲスト講師の講演が大変興味深く、20分間では時間が足りなかったです」

「様々な業界の方が登壇しており、多面的なお話が伺えて面白かったです」

「企業知財では、コスト削減の取り組みの影響で出願件数が減っていますが、生成AIの活用で増やしていく必要性を感じました」

「量より質という価値観が、現状の日本経済の低迷の遠因になっている、という会話にはとても共感しました」

最前線で活躍する登壇者3名のお話を通して、効率的な業務はAIに任せ、人のリソースを戦略的な業務に集中させるというAIと人間の協働?役割分担が一気に現実化しつつあることを感じたイベントでした。KIT虎ノ門大学院では、今後もこうしたイベントを開催してまいります。そして、こうしたテーマの学びをもっと深めたいという方は、ぜひ本学への進学をご検討ください。


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