カリキュラムガイド 一覧
[3] 大学院のカリキュラム
心理科学研究科 > 臨床心理学専攻
教育目標
社会に役立つ心理臨床家、および、科学的素養を有した心理臨床家を育成することを目標にしている。そのため、臨床心理学や関連科学の知識の修得と同時に、専修科目における修士論文の作成、さらに、カウンセリングや心理療法(臨床心理学的介入)の基礎、心理検査の実施と解釈(臨床心理査定)の基礎、臨床心理学的地域援助の実際を、役割演技や、付属の臨床心理センターをはじめとする実習施設において修得することが課せられる。
カリキュラムフロー
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修士課程
専修科目
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臨床心理学研究
臨床心理学の専門家としては、実践力だけではなく、科学的な素養を有していることも重要である。この科目では、最終的な成果物である修士論文を作成する過程において、科学的な考え方と方法論を修得し、プレゼンテーション能力に磨きをかけ、科学的で論理的な文章作成能力を身につけることを目標としている。研究対象とする個人や集団、コミュニティの特徴を、さまざまな心理学的な方法で査定し、介入や地域援助を視野に入れつつ、臨床心理学的な概念の諸特徴を明らかにしていく。
目標●臨床心理学的な諸現象を論理的かつ合理的に説明できる。最新の臨床心理学的な知識に関心を持ち、それらを修得する。研究会や学会などの学術的な活動に興味を持って積極的に参加し、討論に加わる。自身の研究が有する社会的な価値を意識し、一般の人々に自分の研究の意味を説明できる。研究成果をどのように社会に還元できるかを考える。臨床心理学的な知識と技能を備え、眼前の対象だけではなく社会全体に役立つ心理専門職を目指す。
関係科目
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臨床心理学の心構え
本大学院で学ぶにあたってのオリエンテーション的性格の科目である。心理臨床家を目指す学生として、修学上必要となる最低限の知識と態度を修得する。具体的には、科学と実践を兼ね備えた臨床心理学の特質を知るとともに、実践の内容や分野、研究の進め方、研究と実践の両面にわたる人権問題と倫理(守秘義務を含む)などを取り上げ、実習や見学を通して、心理臨床家がとるべき基本的態度を考察する。
目標●本大学院の目指す心理臨床家の在り方を説明できる。心理臨床家の実践活動の内容?領域?専門的技法について説明できる。科学的な方法に則った臨床心理学の研究方法を説明できる。臨床心理学に関する研究の準備として、問題設定に沿った文献を収集し、それを批判的に読むことができる。心理臨床の実践活動における倫理問題について考え、自らの意見を表明することができる。臨床心理学に関する研究を進める上での倫理問題について考え、自らの意見を表明することができる。 -
臨床心理学特論 I
臨床心理学全般の基礎知識を修得してもらうことが目標である。臨床心理学の歴史、方法論、主なパーソナリティの理論、臨床心理査定や心理療法に関する基礎的な知識を修得していただくことがこの講義の大きな目標である。臨床心理学においてよく使用される用語や概念の正しい理解と、主なパーソナリティ理論の正しい理解が求められる。
目標●臨床心理学の歴史の概観を知る。臨床心理アセスメントにおける基本事項を知る。臨床心理学における主な理論と個人心理療法の概要を知る。臨床心理査定における基本事項を知る。臨床心理学的介入の全般的な事項を知る。 -
臨床心理面接特論 I
臨床心理士や公認心理師として働く職域は広いが、心理面接はすべての職域で必要とされると言っても過言ではない。この講義では、主に査定面接に関するさまざまな局面を取り上げ、各種面接状況により、心理臨床家として必要とされる知識(倫理的な事柄も含む)を習得することを目標とする。
目標●心理面接に共通する臨床家の態度を知る。心理面接における倫理的事柄を知る。予診や受理?査定面接で必要とされる内容を知り、得られた情報を簡潔明瞭に纏める。クライアントとの協力関係の重要性を知る。 -
認知心理学特論
臨床心理学の心理科学的基礎としての認知心理学について、心理臨床への適用を視野にいれて理解する。そのため、学部において学習した知覚?記憶?言語?思考?感情などに関する原著論文の購読および発表をおこなう。
目標●認知心理学の知識を確実なものにすることができる。こころと脳のメカニズムについて理解することができる。認知心理学の臨床心理学への適用について理解することができる。 -
臨床心理基礎実習
臨床心理士や公認心理師として実践を行うためには,まず,クライエントから安心され,信頼される関係を構築する必要がある。この関係はどのような職域であっても,専門的な知識や技能を十分に発揮するための前提条件である。この実習では,前学期では受講生同士の役割演技や臨床心理センターでの陪席,後学期では,模擬カウンセリングの実施や,地域でのコミュニティアプローチの一環としての活動への参加が含まれ,これらを通して臨床家としての基本的な態度や応答を学習する。
目標●応答スキルを適切に用いながら,クライエントや援助対象者が安心して話せる場を作り,協力関係を築くことができる。自分自身の応答の際の言語的,非言語的な特徴を知り,クライエントや援助対象者を正確に観察することができる。クライエントや援助対象者の感情に気づき,それを適切に言語化し,クライエントや援助対象者に伝えることができる。クライエントや援助対象者に心理的な援助の外的枠組み(料金,時間等)を適切に説明することができる。模擬カウンセリングにおいて,指導を受けながらクライエント役の対象者を適切に理解し,対応することができる。地域の中で行われているメンタルヘルスに関する事業に積極的に参加し,心理専門職の果たす役割を述べることができる。 -
臨床心理面接特論 II
臨床心理士や公認心理師の職域は広いが、心理面接はすべての職域で必要とされると言っても過言ではない。この講義では、臨床心理面接特論Ⅰで学習した事柄を復習し、修得した知識を確実なものとする。さらに、実際の事例報告を基に治療面接に関するさまざまな局面を取り上げ、査定、治療目標の設定、技法の選択、治療目標の再設定、終結、フォローアップなど、心理臨床家として面接に必要とされる知識を学習することを目標とする。
目標●受理面接で必要とされる内容を知る。査定面接で必要とされる内容を知る。クライエントとの協力関係の重要性を知る。治療面接で必要とされる内容を知る。終結の際の留意点を知る。委託?紹介の留意点を知る。 -
臨床心理実習(心理実践実習)Ⅰ?Ⅱ
専門職としての職業倫理と法的義務を理解した上で、学内外の施設で実習を行う。各の実習先で実際に患者さんやクライエントに対する支援を実践しながら、心理的支援の知識と技能(治療的コミュニケーション、心理検査、心理面接、地域援助等)を学ぶ。また心理的支援を必要とする患者さんやクライエントのニーズに合わせた支援計画の作成や、チームアプローチを意識した多職種連携?地域援助の実際についても学ぶ。学内では心理療法への担当、心理検査の施行等を通して、実際のクライエントと心理アセスメントや心理療法の進め方について学ぶ。また地域連携?地域援助の活動にも参加する。
目標●毎回の実習について簡潔に概要を述べ、記録することができる。学外施設での実習を通して、各実習先の特徴とそこでの公認心理師の役割を他職種の専門性と比較しながら説明できる。実習を通して自分が学び経験したことを任意の視点で考察し、報告書にまとめることができる。カウンセリングにおけるセラピストの役割や姿勢等を理解し、適切な態度や介入を実践できる。事例検討会に参加し、事例理解のための質問や議論を行うことができる。公認心理師の職業倫理と法的義務について要点を説明できる。 -
臨床心理実習Ⅲ
学外実習先と大学内の臨床心理センターでの実習を行う。学外実習先では、医療?教育?福祉?司法などそれぞれの領域での専門機関の機能や役割、そこでの臨床心理士の活動について理解する。受講生は、実際に施設の利用者およびスタッフと関わり、精神科疾患を持った人や利用者が抱える問題とそれに対する支援について具体的かつ体験的に学ぶことを目的とする。また学内の臨床心理センターにおいては、実際のカウンセリングや心理療法に携わり、実践的な訓練を積む。
目標●:学内外を問わず、毎回の実習について簡潔に概要を述べ、記録することができる。学外施設での実習を通して、それぞれの実習先の特徴や役割を比較しながら説明できる。実習を通して自分が学び考察したことを報告書にまとめることができる。 -
臨床心理査定演習 I
質問紙形式の心理検査の、尺度開発のプロセス、信頼性や妥当性の検討方法の復習から始まる。この演習の中心は、代表的な質問紙法であるMMPI(Minnesota Multiphasic Personality Inventory)の、実施方法、結果の整理(採点方法、尺度得点の算出、プロフィールの作成)、解釈といったレポート作成に至るまでのプロセスを実践的に学び、その成果をレポートとして提出する。また、対象者に対する結果のフィードバックも試みる。
目標●信頼性、妥当性、標準化といった質問紙法を理解する上での概念を理解できる。MMPIの実施、結果の整理、解釈を行うことができる。対象者の状況を加味してMMPIのレポートを作成することができる。MMPIのプロフィールを用いて、結果を対象者にフィードバックする役割演技ができる。 -
臨床心理学特論 II
臨床心理学特論Ⅰに続いて、臨床心理学全般の基礎知識を習得してもらうことが目標である。臨床心理学特論Ⅱでは、研究法、専門性と倫理、および、各種心理的障害に関する正しい知識の理解が求められる。
目標●臨床心理学の研究法に関する基本的な知識を修得する。臨床心理士の専門性と倫理の基本的な知識を修得する。各種心理的障害の査定に関する基本的な知識を修得する。各種心理的障害の介入に関する基本的な知識を習得する。 -
臨床心理査定演習 II
心理検査の中の投映法について学習する。これらの基本的な知識や検査法の歴史、テストバッテリーの考え方などを理解する。また代表的な投映法の1つであるロールシャッハ?テストについて実施から結果の整理、解釈、報告書の作成までの基本的作業ができるようになることを目指す。
目標●投映法の検査に関して複数の名称をあげることができ、かつ簡潔に特徴を説明できる。ロールシャッハ?テストを正しく実施することができる。反応の記号化を正確に行い、構造一覧表を作成することができる。ひとつのプロトコルを解釈し、パーソナリティの特徴について報告書を作成できる。テストバッテリーについて説明できる。 -
臨床心理査定演習 III(心理的アセスメントに関する理論と実践)
臨床場面で多く使用される知能検査と、発達検査について、その概要や歴史を理解するとともに、実施方法と結果の整理ができること、さらに結果から知的機能の特徴を読み取ることができるようになることが目標である。また検査結果を目的に応じた報告書にまとめる訓練も含まれる。
目標●知能検査と発達検査について代表的なものをあげ、どういう特徴があるか説明できる。知能検査を正しく実施し結果の整理ができる。検査結果を分析し、知的機能の特徴をまとめることができる。目的に応じた報告書が書ける。 -
心理学研究法特論
この講義では、現代の心理学研究で用いられる方法について学ぶ。この中で、研究にはいくつかの種類と目的、それに合わせた方法、分析手段?結果のまとめ方があることを理解することが必要である。それらを基に受講生は、研究を評価する際に必要な視点を学ぶことになる。また受講生は、研究の準備、データ収集?分析、研究成果の公表の仕方についても学ぶ。そうして得た知識を、自らの研究活動におき換えて研究活動に活かすことが望ましい。
目標●研究のいくつかの種類について、長所と短所を説明できる。心理学研究の上で、剰余変数などの考慮しなければならない点をいくつか説明できる。実験と偽実験の違いを述べることができる。研究結果の一般性について説明できる。 -
産業?組織心理学特論(産業?労働分野に関する理論と支援の展開)
IT技術や人工知能の飛躍的な進歩、少子高齢化や過疎化、さらに、グローバルな世界観の進展とともに、わが国の産業構造や労働環境は大きく変わりつつある。このような流れの中で、今後の企業や組織におけるメンタルヘルス問題にどのように取り組んでいくことが必要なのかを考える必要がある。この講義では産業?組織分野における伝統的な用語の解説から始め、企業や組織におけるメンタルヘルス対策の解説、さらに、究極の予防とも言えるポジティブ心理学をベースにした職場における従業員のwellbeingの増進にも触れる。
目標●伝統的な産業?組織心理学における用語が説明できる。職場におけるメンタルヘルス対策の概要を説明し、実際にそれらを進める上での臨床心理学的な観点を理解できる。ポジティブ心理学を活用した職場におけるwellbeingの増進プログラム案を考案し、それらを現実に適用する観点から議論することができる。 -
心理療法特論 I
カウンセリングや心理療法を考える上での専門家としての視点を理解し、その上で、ほとんどの心理学的介入の共通要素となっている来談者中心療法の諸概念を理解する。あらゆる対人援助職に来談者中心療法からの観点が有用であることを認識し、他者や自分自身を尊重する態度を習得する。ここで養成された人間観は、将来、受講生が対人援助職としてさまざまな対象者に臨床心理学を基にした援助活動を行うための基盤となる。
目標●来談者中心療法と他の主な心理療法との異なる点について説明できる。来談者中心療法の基本的な概念をわかりやすく説明できる。ロジャーズの提唱した「話を聴く態度」について説明できる。人間の心理的な成長に関する議論ができる。心理臨床家と社会との関係に関心を持つことができる。 -
心理療法特論 II
精神分析理論の基礎概念と、精神分析的人格理論について学ぶ。また精神分析的心理療法について、治療の基本的枠組み、介入方法、アセスメントの方法、心理療法のプロセスなどをテーマに解説し、精神分析的な事例の理解の実際を学ぶ。
目標●精神分析理論の基本的用語を理解し、説明できる。自我の諸機能および機制について説明できる。精神分析的心理療法の特徴を説明できる。精神分析理論や精神分析的心理療法に関してその意義や問題点を考察することができる。 -
心理療法特論 III(心理支援に関する理論と実践)
心理支援の基礎となる理論および実践法として、精神分析理論、来談者中心療法、認知行動療法の考え方とそれに基づく主な技法を学ぶ。特に認知行動療法の代表的な技法である、リラクセーション、曝露法、認知再構成、および、スキルトレーニングの作用機序、実施方法、クライエントへの適用方法、および、その際の注意点について、実習を通して学ぶ。さらに事例定式化(ケース?フォーミュレーション)の方法を、事例研究の講読を通して学ぶ。それらの学習を通して、心理支援の実践に必要な知識と技能を身に付ける。
目標●精神分析理論の考え方と主な技法を説明できる。来談者中心療法の考え方と主な技法を説明できる。認知行動療法の考え方と主な技法を説明できる。事例研究を批判的に読むことができる。クライエントの主訴について事例定式化(ケース?フォーミュレーション)を行うことができる。ケース?フォーミュレーションに基づいてクライエントに適した介入を計画できる。 -
臨床心理地域援助特論(家族関係?集団?地域社会における心理支援に関する理論と実践)
コミュニティ心理学の観点から、地域、組織などさまざまな「コミュニティ」を対象とした、臨床心理学的な査定および介入に関する理論と技法を理解する。また、さまざまな地域コミュニティが抱える精神健康面での問題や、各コミュニティにおける心理臨床家の役割および職業倫理などを考究するための基礎知識を修得する。さらに心理臨床家が活動する医療?福祉、教育、産業等の領域における関連する法律や関連する他職種について理解を深める。
目標●コミュニティ心理学の基礎用語が説明できる。さまざまなコミュニティが抱える精神健康的側面における問題を指摘できる。さまざまな領域における心理臨床家の役割を検討できる。これらの領域において密接に関連する法律の内容を説明でき、これらの領域の他職種の専門家や関係者との協働関係を持つ方策を考案できる。 -
精神医学特論(保健医療分野に関する理論と支援の展開Ⅰ)
臨床心理士にとって知っておく必要があると思われる精神障害の原因、症状、経過、治療法を学ぶ。また、精神障害の治療?ケアは医療機関をはじめさまざまな機関が関わり、さまざまな職種が関わる。精神医療の社会的側面も学ぶ。
目標●精神医療の大枠が理解でき、その中で臨床心理士の役割が説明できる。精神医療の主な対象となる疾患の症状、経過、治療が説明できる。中枢神経に作用する薬物についてその種類、適応症について説明できる。 -
学習心理学特論
この講義では、学習心理学の重要な事項について理解を深め、学習心理学の知見がどのように応用されているかを学ぶ。まず、初期の学習心理学の実験事実を学び、基礎的な用語を理解する。その後、これまでに得られた学習心理学の知見が、実際の臨床事例に適用されているケースを基に、基礎的な知見が応用的な技法にどのように反映されているかを理解する。
目標●学習とは何か簡単に説明できる。古典的条件づけのプロセスについて説明できる。オペラント反応の形成について簡単に説明できる。臨床場面で用いられている技法に関連する実験的事実について言及できる。 -
心身医学特論(保健医療分野に関する理論と支援の展開Ⅱ)
心と体の関係について東洋医学の経験、西洋医学の研究結果を学ぶ。心理社会学的ストレスが引き起こす、あるいは影響する病気?病態について知り、治療的関わりについても学ぶ。
目標●心身相関の生理の基礎について説明できる。心身症の代表的な疾患について簡単な説明ができる。心理社会的因子が大きく影響について簡単な説明ができる。疾患?状態についてその病態、治療や対応について簡単な説明ができる。 -
社会病理学特論
現代社会で広くみられるようになったさまざまな嗜癖行動についてその疫学、症状や特徴、周囲の人々への影響、回復、治療へのアプロー チや関わりを学ぶ。回復にとって重要な自助活動についても学ぶ。また、ひきこもり、DV、虐待についてもその実態と回復?援助について学ぶ。
目標●嗜癖の成り立ちと回復のメカニズムについて知る。嗜癖行動の回復支援の方法であるアディクションアプローチについて知る。嗜癖回復で重要な役割を果たす自助活動について知る。 -
母子関係特論
ヒトは生物学的な制約を受けながらも、環境と相互作用しながら長期に亘る発達を遂げてゆく。この授業では、「生涯発達心理学」の内容を基盤に、親子の在り方や互いに影響し合う親子の発達の過程を、生物学的?社会学的?心理学的な側面から包括的に理解する。更には、おおよそ子が学童期を迎えるまでの各発達段階において、現代の親子が抱える課題を認識し、各自が対応策について具体的に考察することが求められる。
目標●各発達段階における親子関係の特徴や課題を包括的に理解し、臨床心理学的支援の方向性について考察する。 -
学校臨床心理学特論(教育分野に関する理論と支援の展開)
この講義では、スクールカウンセリングを概観し、学校場面におけるカウンセリングの特徴について解説する。この中でいじめや不登校といった問題に対し、スクールカウンセラーがどのように対応していくのか考える。さらに学校場面においてカウンセリングを行っていく際の留意点について述べる。また発達障害に対する理解を深め、適切な特別支援教育の方法について学ぶ。
目標●スクールカウンセリングの特徴を述べることができる。学校現場で留意すべき点をあげることができる。特別支援教育制度について簡単に述べることができる。発達障害に対する対応をいくつかあげることができる。 -
福祉心理学特論(福祉分野に関する理論と支援の展開)
心理専門職が働く福祉分野は児童、障害児?者、高齢者など対象が幅広く、求められる業務も多様で高度なものである。また福祉分野での支援は国や地方自治体等の行政のもとに行われることが多く、その分、それらを支える法令や制度の理解が重要である。ここでは高齢者福祉や障害児?者福祉を含めた福祉分野の全体を概観しつつ、特に児童福祉に重点をおき、児童相談所と児童福祉施設、児童相談所と市町村の関係、児童虐待等への理解を深める。また心理専門職としての役割と多職種との連携の実際および地域における活動や貢献についても学ぶ。
目標●福祉分野の心理専門職についてその役割と専門性を説明できる。福祉分野の対象者への支援の枠組みとなる法令や制度、施設について説明できる。児童相談所と児童福祉施設について説明できる。児童虐待の定義を理解し、早期発見と介入について説明できる。 -
司法心理学特論(司法?犯罪分野に関する理論と支援の展開)
司法?犯罪分野においては、これまで心理職の仕事はあまり知られてこなかったが、犯罪や非行からの更生プログラムの開発および活用、犯罪被害者の心のケア、家事事件における家庭内紛争に伴う子どもへの影響のアセスメントと心理的支援など、心理学の知見や心理職の専門性の活用が期待されている。そのため、少年事件、刑事事件、家事紛争事件、犯罪被害者支援に関する法規や制度を理解しておくことは公認心理師をはじめとする心理専門職として不可欠である。また各施設における心理専門職としての役割と多職種との連携の実際および地域における活動や貢献についても学ぶ。
目標●司法?犯罪分野の心理専門職についてその役割と専門性を説明できる。司法?犯罪分野の対象者への支援の枠組みとなる法令や制度、施設について説明できる。被害者支援および加害者支援の取り組みについて説明できる。 -
ポジティブ心理学特論(心の健康教育に関する理論と実践)
1998年に始まったポジティブ心理学は、現在、教育領域や産業領域を中心に世界的に大きく取り上げられるようになってきている。ポジティブ心理学の大きな目的のひとつはwellbeing(主観的幸福感)を増大させることであり、こころの健康と密接な関係がある。この講義では、まず、ポジティブ心理学の歴史的経緯、および、wellbeingのモデルを解説する。また、伝統的な臨床心理学との相違点を詳説し、臨床実践にどのようにポジティブ心理学的なアプローチを取り入れていくかを議論する。さらに、いくつかのポジティブ心理学的介入(Positive Psychological Interventions; PPIs)を紹介し、体験的に学習する機会を設ける。
目標●ポジティブ心理学の発想を説明できる。Wellbeing(主観的幸福感)の概念といくつかのモデルを理解し、説明できる。従来の臨床心理学とポジティブ心理学の違いを説明できる。代表的なポジティブ心理学的介入のいくつかを理解し、自分で実施することができる。ポジティブ心理学的な観点から、臨床事例を理解することができる。