- 虎ノ門大学院ブログ
- 2022年02月22日
修了生インタビュー:熊谷博子さん(ITベンチャー企業)
「今の会社では毎年数十パーセントの売り上げ増が求められるので、常に、発想を根本から変える必要があります。そのときKITで学んだことを思い出します」
熊谷博子さん(40歳)は、企業のデータ活用を推進するIT企業に勤めています。出身は福岡県で、名前の由来は「父が郷土愛あふれる人で、博多の博の字を使って博子となりました。息子なら博(ひろし)にするつもりだったようです」といいます。趣味は「2歳の娘の子育てのかたわら、ヨガとピラティスがやすらぎです」とのこと。
(※ この事例に記述した数字?事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数、およその数で記述しています)
■ 企業向けデータサービスを提供するIT企業に勤務 |
- 熊谷さんは、いま、どんな仕事しているのですか?
いま勤務しているのは、データ統合?活用サービスを提供するITベンチャー企業です。マーケティング部に在籍しています。本社は米国にあり、日本人が創業した会社です。現在、企業向け顧客データ活用サービスの日本市場は、毎年、数十パーセントの勢いで伸びており、私がつとめる会社は、その分野で国内最大級のシェアを持ちます。私は子供の頃からキャリア志向で、いまの会社での仕事には、やりがいを感じています。
■ 「会社でバリバリ働きたい」 |
- 「子供の頃から」キャリア志向だった、のですか。
はい、小学校の頃には、もうそうでした。将来の夢の作文も、お嫁さん、パン屋さんになりたい、でなく、「かいしゃでどんどん働きたいです」と書いていました。おそらく父の影響だと思います。父は地方紙の記者で、世の中で何か動きがあるたび飛び回っていました。子供心に、そんな姿を見て「なんか、いいな」と思ったのでしょう。
大学は応用物理学科に進みました。国語など文系の成績がふるわないし、考え方も理系のほうが向いている気がしたからです。デジタルカメラに興味を持ち、その素子であるCMOSの研究をし、卒業後はその延長で、日系の半導体企業に勤めました。
多くの新卒生が開発や研究の職種を志望する中、技術部門の中でも顧客と接する職種を希望しました。閉じこもって研究を続けるより、外に出て人と話していく職種の方が、自分の持ち味を生かせる気がしたからです。その会社では、顧客に向けて技術的な提案、情報提供をする「技術営業」の仕事と、その時々の基礎技術を取捨選択し、それを半導体チップ上にまとめて商品化する、「商品企画」の仕事を兼務しました。そこには6年つとめましたが、マーケティングの仕事に取り組んでみたいと思い、転職しました。
次に勤めたのは、社員500人ほどの機械部品商社です。独自の考えを持った商社として、当時から経済誌などで紹介されていました。そこでは海外販促支援や国内販促に携わりました。仕事内容は刺激的でしたが、4年半、勤めて「この会社で働き続けるのと、新しい会社で働くのと、どちらの方が成長のチャンスがあるだろう」と考えるようになりました。
しばらくして、私の経験を生かしつつ、新しいことにも挑戦できる仕事が見つかり、「BtoB営業支援」の企業に転職しました。そこに4年、勤め、だいたいの仕事をやり切ったと感じた後、移ったのが、いま勤めているITベンチャー企業です。
KITに入学したのは、機械部品商社に在籍していた33歳のときです。
■ KITに入学した経緯 |
- 働きながらビジネススクールに入ろうと考えたのはなぜですか?
知識面で自分を成長させる必要は当時から感じていて、ビジネス書なども、それなりに読んでいました。でも、社内で優秀な上司と話すと、彼らはひとまわり大きな知識、視野を持っている。自分ももう少し、そういう点を強化したいなと考え、ビジネススクールに入ろうと思いました。
この他、少人数制であること、修了に修士論文が必要であることも魅力でした。修士論文については、それを書かねばならない方が、研究課題が深掘りできて良いと考えました。学費は、貯金と教育ローンでまかないました。
そして入学し、思ったのは、やはり授業がすばらしい。講師は、長年の実務経験で大量の問題解決をしてきた人ばかりで、話に必ず根拠がある。だからいちいち腹落ちします。
少人数制なのもやはりよかった。アットホームな助け合い精神があり、宿題も含め、互いに励ましあい、情報交換しながらがんばっていけます。
KITでは戦略や財務なども学び、自分の幅を広げられた気がしました。修士論文は「BtoB製造業におけるバリューマーケティングに関するフレームワーク提案と、それに基づく事例研究」という題名で書きました。山田英二先生の手厚い指導もあり、自分を出し切り、満足いくものが書けました。
■ KITで学んだことは仕事でどう役立つか |
- 今の仕事でKITで学んだことはどう役立っていますか。
今の仕事は、大変ですが、決して長時間労働ではありません。子供を保育園に迎えに行かないといけないので、仕事を終える時間は大体決まっています。
私が属するマーケティング部の仕事は、売るための原資である「案件」をつくることです。必要な案件の量は、売り上げ目標を、案件平均単価や成約率などで割り算していけば、算出できます。日々、この案件量を確保する行動を行う。それがわたしの仕事です。
と、こういうと日々、淡々とした仕事のように聞こえますが、問題は大元の売り上げ目標が毎年、数十パーセントの割合で大きくなることです。いま企業向けデータ基盤の市場は、毎年、数十パーセントで伸びている。だから同程度の成長は当たり前、それを超えてはじめて競合と比較して成長していると、といえます。
となると、マーケティング部は毎年、頭を切り換える必要があります。毎年、5%程度の成長で良いなら、今の発想の延長線上で「もっとがんばる」ということでよいかもしれない。しかし毎年数十パーセントとなると、それまでと同じ発想では実現不可能で、常に根本から見直して、新しい取り組みをする必要がある。
そんなときKITで学んだ知識、発想法が役に立つことがあります。仕事がいきづまったとき、昔、授業で習ったことを思い出すと、思わぬ糸口が見つかる、そんな経験が何度もありました。
今後の展望ですが、大きなプロジェクトに関わり、BtoBマーケティングをさらに究めたいと思っています。
■ 入学を検討している人へのアドバイス |
- いまKITを検討している人へ、先に入学、修了した先輩としてアドバイスなどあれば教えてください。
KITで何が得られるのか。実際に授業を受けて、論文を書く、それを経験するまで本当のことは分かりません。でも経験すれば、それまでとちがった世界が開けます。「今までちがう世界にとびこむ」ことに興味があるのなら、やってみるほうがいいと思います。
※ 取材日時 2022年1月
※ 取材制作:カスタマワイズ