地上型レーザの基本特性に関するワーキンググループ
レーザに関する基礎的な特性を検討する研究活動を行っています。
レーザースキャナのスポットの撮影と測量精度との関連性の調査
本活動では、地上型レーザースキャナ(BLK360)での測量の際のスポットを観測し、実際の測量結果との関連性を調査した。レーザースキャナから出射されるレーザービームのスポットが大きい場合、ビームの一部が近距離の障害物に照射され、残りが遠距離の障害物に照射される、ということが起こり得て、それが測量の精度を悪くする可能性がある。2つの障害物の距離の差が大きい場合には、レーザースキャナに戻ってきたレーザーパルスの第1パルス波と第2パルス波とを区別して、測量精度を悪くしないようにできるが、2つの障害物の距離が近い場合、そのような手法も取れない可能性がある。今回、そのような状況を図1のような実験配置で再現し、測量を行う際のスポットの撮影を行った。地上型レーザースキャナ(BLK360)からのレーザー光は目に見えない近赤外線(波長830nm)であるため、この波長に感度のある近赤外線カメラを用いた。図2にはその結果を示す。このレーザースキャナ(BLK360)には、スキャン密度が3種類(High, Middle, Low)あるので、それぞれの場合の撮影結果が図2に示されている。スキャン密度によって、レーザースポットの間隔が大きく異なっているのが明瞭にわかる。また、特にLowの密度の写真でわかりやすいが、前面の段ボールにスポットの一部しか照射されていない状況もわかる。
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模式図 写真 図1:3cm離れた2つのダンボール板の段差構造をレーザースキャナで測量した際の近赤外線カメラによるスポット撮影の様子
(左:模式図、右、写真) -
スキャン密度Lowのスポット スキャン密度Middleのスポット スキャン密度Highのスポット 図2:3つのスキャン密度のモードでの、2つのダンボール面に当たるスポット像の撮影結果 -
全体像 段差部分の拡大図 図3:Highのスキャン密度のモードでの測量で得られた点群データ(左は全体像、右は段差部分の拡大図) - 電気電子工学科4年生3名
図3は、実際にこのレーザースキャナ(スキャン密度Highのモード)で同じものを測量して得られた点群データである。これを見ると、前側の段ボール面と後ろ側の段ボール面の間(1点鎖線で囲ったあたり)に、点群が存在する。現実にはこの領域には物体は存在しないため、測量結果としては明らかにおかしい。この結果は、前面と後面の2つの段ボール面から反射した光パルスが重なり、1つのパルスになった場合に、レーザースキャナとしては中間的な距離として捉えるような誤差が生じ得ることを意味している。