第21回講座
ハインリヒ?ヘルツは
何を考え、何を見たのか
?電磁波発見までの経緯を原著論文より学ぶ?
- 講師:金沢工業大学 電気電子工学科
教授 野口 啓介プロフィール金沢工業大学電子工学科卒。東北大学大学院前期博士課程(電気及び通信工学)修了。(株)日立製作所入社、中央研究所に勤務。1995年金沢工業大学助手。講師、准教授を経て、2009年教授。2009年UCLA客員研究員。専門はアンテナ工学。
金沢工業大学ライブラリーセンター所蔵
非常に速い電気的振動について
金沢工業大学は、科学的発見や技術的発明が最初に発表された約2,000点の稀覯書を所蔵しており、これらを活用し「学問の本質を学び、未来にチャレンジする」教育?研究を行っています。今回は1887年にドイツの物理学会誌(Wiedemann’s Annalen)に掲載されたハインリヒ?ヘルツ(Heinrich Hertz)の論文「非常に速い電気的振動について」(電磁波発見に関する最初の論文)を解説します。30歳の若きヘルツが、1864年にJ.C.マクスウェルによって予言された電磁波の存在をいかにして発見したのか、ヘルツによって編纂され電磁波発見の経緯が示された論文集「Electric Waves」をもとに解説します。
論文「非常に速い電気的振動について」に記述された内容は、当時、物理学者としての地位を確立しつつあったヘルツが事実を一つ一つ積み上げていく経緯を明らかにしています。現在のスマートフォンをはじめとし、無線通信技術で必須となるアンテナ?電波伝搬の基礎が凝縮された実験をヘルツは行っています。わずか36歳で逝去した若き天才、ヘルツが行った物理学者としての考え方、事実の把握の仕方を学びます。本講座では、電磁波発見の原著論文を参照しながら解説致します。