ウィルバーは弟のオーヴィルと共に、生まれ故郷のオハイオ州デイトンの町で生来の機械好きの趣味と、自転車競技への情熱を生かして自転車修理店を開業していました。スポ-ツ好きの兄弟をとらえた趣味はもうひとつあって、それは、リリエンタールによって広められ、当時最も勇気の必要な危険なスポーツとみなされていたグライダーによる飛行でした。彼等はリリエンタール他のグライダー飛行の研究書を読み、また実際の飛行経験から得た事実をもとに自転車の部品を用いて安定性と操縦性に優れ、良く飛ぶグライダーの設計と製作をしていました。操縦性を著しく高めた補助翼は、彼等の提案であり特許を取っています。次いでこのグライダーを動力で飛ばす事を考え、当時のガソリン?エンジンを改良して非常に軽いエンジンを造り、数多くの失敗の後、遂に1903年12月、ノース?カロライナ州キティ?ホークで1分間 255 mの動力飛行に成功し、数日後、飛行時間を30分、距離を40kmと伸ばして飛行機の実用可能性を証明したのでした。本書は動力飛行を達成する為に繰り返し行われたグライダーによる飛行実験の記録です。
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